第1736話 ページ23
賢志郎side
Aの意外な一面に驚いていると、机の下から大きめの段ボールを出してくる
どう見ても横幅は1mは超えている。しかし高さはあまりない
Aから受け取った箱は、重くも軽くもない
側面を見ると、かの有名なアパレルブランドのロゴ
箱を開けると、紺色の……
賢志郎「コート？」
「うん、コート。賢志郎さん、あまりコート持っていないでしょ？しかもかなり前から着ているし……と、言うわけで今年の誕プレはコートです」
賢志郎「ほんまありがとう。着てもええ？」
「もちろん」
ビニールから取り出し、コートに袖を通す
ウール？羊毛？よくわからんけど、触り心地がすごく良い
ふわふわと柔らかく、それでいてサラサラとしている
それに、これ……
賢志郎「めっちゃピッタリやわ。肩とか、いくら動かしても引っかかったりせえへんし」
「ふふ。でしょ？実は、これパターンオーダーなんです！」
賢志郎「オーダー？え、A、俺のサイズ……」
「寝ている間に測りました！2ヶ月ぐらい前かな？気づかなかった？」
賢志郎「2ヶ月前？いや、全然気付いとらんかった」
そもそも、この方法って
賢志郎「俺が婚約指輪渡した時のやり方……」
「うん、同じ方法で何かやり返したくて」
賢志郎「やり返す、って……」
言葉のチョイスに呆れて笑うと、つられて笑うA
その笑顔は、去年のAの誕生日の時ともまた違っている
言ってしまえば柔和な感じやろうか
また来年の笑顔も、変わっていくんやろうか
ずっと見ていたい。いつまでも
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作者名：水音 | 作成日時：2024年1月19日 21時
