第1731話 ページ18
Aside
名残惜しくてブースを出る前に一度振り返る
いつもの、何も変わらない
常にあるものほど、別れるとき名残惜しいんだろうな
郁弥「A、マスコミが来る前に帰った方がいいんじゃない？蒼もね」
「そうだね。そうさせてもらうよ」
手早く荷物を持ち、コートを着る
流れ作業のようにスタッフさんたちからお祝いの言葉やプレゼントを受け取っていく
本当はもっときちんとお礼とかお話もしたかったけど、こればかりはしょうがない
郁弥「なんか……僕に手伝えることがあったら、いつでも連絡してね。パシリとかでも全然いいからさ」
「いいの？毎日呼びつけるよ？」
郁弥「いきなり調子乗るね？……ていうか、お手伝いさん来るようになったんでしょ？蒼に聞いたよ」
蒼「その優璃ちゃんと年末一緒に恋ちゃんの家で過ごしたんだけどね、すっごくいい子だった」
郁弥「距離詰めるのはっや……。ほら、もう帰りなよ」
大きい紙袋にプレゼントをひとまとめにしてくれる郁弥
当然のように、出口までは私に持たせようとはしない。もちろん蒼にも
「蒼、嫉妬しないの？」
蒼「姉に嫉妬するほど器小さくないからね。あと、郁弥はA以外にはこんなことしないから」
郁弥「しないね」
「ああそっか。顔がいいと無闇矢鱈に勘違いされかねないもんね」
蒼「Aがそれ言う？」
郁弥「蒼こそでしょ。………それじゃあ、またね」
一月の寒い中、上着も着ずに外まで見送りに来てくれる
本当、郁弥には………ううん、ここのスタッフさん達には、感謝し尽くせないな
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作者名：水音 | 作成日時：2024年1月19日 21時
