第1715話 ページ2
賢志郎side
女の子「ごめんなさい………」
蚊の鳴くような、それでいて力のこもった声で謝る
この子の話を聞く限り、同情してまう
でも、だからといってAは警察に言わないつもりなんやろうか
大事にはしたくないんやろうけど、でも………
「住むところにも、お金にも困ってる……ってことだよね？」
女の子「……はい」
「家事はできる？」
女の子「生まれてからずっと養護施設で暮らしていたので、そこそこ……」
家事？
まさか、A………
「ウチで働いてみない？」
賢志郎「えっ？！」
思わず先に女の子よりも声が出てしまう
Aは何を考えとるん？
軽いとはいえ、この子は何度か犯罪を犯している
同情する余地があるには、あるけど……
「罰を以て罪を償え……みたいな考え方もあるけど、私は善行を以て罪を償う考え方の方が好きだし。うちは私も旦那も働いてるから、これから先、絶対に人手が足りないの。お手伝いさんも検討してるけど、私達のことを知らない人はなかなか居なくてね。あなたらなら家事もできるみたいだし、私達のこともあまり知らないでしょう？」
確かに、この子が家のことを手伝ってくれたら好都合ではある
とはいえ、こうも簡単に決めてしまってもええんやろうか
そもそもAの器の大きさ、どないなっとんねん
俺が小さいんか？
……いや、Aが規格外なだけやろ
「いいよね、賢志郎さん？」
賢志郎「………もうあんなことはしぃひんって約束できるなら、まあ……」
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作者名：水音 | 作成日時：2024年1月19日 21時
