第1711話 ページ48
賢志郎side
Aが誰かとぶつかった地点で1分ほど待つ
しばらくすると、必死に誰かを探している様子の若い女の子が見えた
一つにまとめた髪は少し傷んでいるようにも見える
よく見たら、持ち物もあまり良いものとは言えない
その女の子に近づいていくA
そんなAに気づいたのか、あっ、と声を上げる女の子
謝りに来たんかな？
いや、だとしたら時間が経ちすぎのような気も……
色々と不安に思いつつ、いつでもAを守れる姿勢でAと一緒にその女の子の前に立つ
「探してるのはこれ？」
そう言ってAがポケットから取り出したのは、水色の………財布？
女の子「それ………私の！！返して！！」
「だったら貴女も返すものがあるんじゃない？」
どういうこと？
何が起こってるん？
Aは、この女の子の財布を持っとる。………え、いつ拾ったん？
そしてこの女の子は、Aに返すものがある……
2人に多分面識はない
返すもの……？
「大丈夫。返してくれたら、警察には言わないから」
賢志郎「け、警察？！」
良くないことというのはわかる
ただ、Aがどういった意図を持って何をしてるのかが全くわかれへん
女の子「……………」
黙ったまま俯く女の子。目には失望、そして憤りが見える
「……場所を変えようか。ここだと寒いしね。近くに人の少ない、いいお店を知ってるから。いいよね、賢志郎さん？」
賢志郎「え……あ、うん」
そう言うや否や、その子の腕を掴んで歩き出す
抵抗する様子もない
ほんまに、何が起こっとるん？
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作者名：水音 | 作成日時：2023年10月14日 19時
