第1708話 ページ46
郁弥side
自分の先走った発想が恥ずかしくなり、手で顔を覆う
そんなわけないよ。Aのことを信頼している川西さんが、僕のことを信頼しないわけがない
賢志郎『まあ、郁弥くんは義弟やしね』
郁弥「お、おとっ………？！」
川西さんの変な発言に思わずスマホを落としそうになる
賢志郎『蒼ちゃんとはかなり仲ええって聞いとるよ』
郁弥「それは………はい。でも気が早いですよ……」
賢志郎『そうなん？……とにかく、今日はよろしくね。あと、ほんまにありがとう』
郁弥「いえ、それは………」
言いかけてちょっと恥ずかしくなって止める
でももう、今日の分の恥はかききったし。いいか
郁弥「結婚してから……いえ、思えば川西さんと付き合っているであろう頃からA、表情が楽しそうっていうか、豊かっていうか……。Aがそうだと、僕も安心するんです。………だから、僕こそ……ありがとうございます」
賢志郎『郁弥くんはほんまによくAのことを見とるね。Aが信用してるのもようわかるわ』
郁弥「そうなんですか？」
賢志郎『そうやで。この前だって………あ、ごめん。もう仕事やわ。また何かあったらすぐ連絡してな』
郁弥「はい。では」
通話の切れた音とAの荒い息遣いが部屋に響く
この前って……何の話をしたんだろう
郁弥「ねぇ、A……」
いや、今の状態で喋らせちゃうのは酷だ
訊かない方がいいかな
でも、代わりに
郁弥「………相当僕のこと好きだよね」
「う………い」
うるさい、そう言ったんだろう
蒼と似た態度。やっぱり、姉妹だなぁ
蒼が来るまで、しっかり看病しないと
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作者名：水音 | 作成日時：2023年10月14日 19時
