第1705話 ページ43
郁弥side
布団から覗くAの腕は、前に見た時よりもずっと細い
人間を3人作り上げていく栄養が必要なんだ。当然のことなのかもしれない
………いや、3人分じゃないよ
4人分じゃないか
3人、と聞いて僕はAを含めて3人だと思った
でもAは違う。自分を含めすに、3人と言った
献身的というか、自己犠牲的というか、Aらしいというか
郁弥「もっと自分のことも大事にしなよね」
「わ……」
わかってる、と言いたいんだろうな
でも、Aは全然わかってないよ
もっと自分本位に、母体を優先でいいのに
………いや、これが母親なのかな
まず何よりも子供のことを優先して考える。母性みたいなものなのだろうか
まだ生まれていないのに、Aは……
郁弥「……だからちゃんと、食べられるものは食べてね。………スーパー行ってみてさ、食べられそうなもの探すの、大変だった。Aも川西さんも、大変だね。頑張ってるね」
川西さん、と口に出してさっきまで考えていたことをふと思い出す
そうだった。僕はここにいていいのだろうか
そもそも川西さんは僕が来ることを知っているのだろうか
郁弥「ねぇ、川西さんは僕が来ることは知ってるの？」
「…蒼………ない」
足りない言葉を補って言うなら、蒼が決めたことだから知らない、だろうか
郁弥「そもそも川西さんはAが風邪ひいたこと、知ってるの？昨日から大阪なんだよね？」
「LINE……だけ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水音 | 作成日時：2023年10月14日 19時
