第1702話 ページ40
郁弥side
家に戻ると、Aの苦しそうな咳き込む声が聞こえる
どうやら寝られないみたいだ
寝室に入ると、さっきよりもぐったりして見える
熱、さらに上がっちゃってるのかな
郁弥「A、買ってきたよ。今食べられそう？」
そう聞くと、何度も激しく咳き込みながら頷く
郁弥「用意するから、ちょっと待ってて」
そう言って寝室を後にする
ドア越しにも聞こえるAの咳
あの様子だと、3日後のラジオまでに喉は回復しないんじゃないかな
……って、喉以外にもっと気を使うところがあるって分かったばかりじゃないか
電気ケトルでお湯を沸かし、卵の入っていないインスタントスープを作る
パンは……とりあえず一個かな
ダイニングテーブルの上に置いてあったお盆にスープとパンを乗せ、再び寝室へ戻る
11月の冷えた外気で換気はもう十分だ
これ以上は風邪を悪化させかねない
サイドテーブルにお盆を置き、寝ているAを抱えるようにして起こす
さっきよりも体温が高くなったような気もする
郁弥「これ、インスタントだけどスープ。温まるから、飲んだ方がいいかも。パンもあるからね。僕はリビングにいるから」
きっと、Aは僕には食事の介助まではされたくないだろう
気を遣うだろうし、何よりこれ以上は弱みを見せたくないだろうから
強すぎる日差しを少なくするためにカーテンを半分ほど閉めて部屋をでる
しばらくは、様子を見なくても大丈夫かな
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作者名：水音 | 作成日時：2023年10月14日 19時
