第1700話 ページ38
郁弥side
氷嚢を冷凍庫から取り出しながら、頭の中のふわふわした妊娠についての情報を探る
薬はダメ。悪阻にも確か色々な種類がある。血圧が高くなりやすい……
僕、何も知らないんだな
そりゃあ、身近なことではないし……というのは言い訳か
現にこうして、身近な人がその状況になっているわけだから
寝室のドアを開け、Aに氷嚢を渡す
郁弥「さっき蒼から色々聞いたよ。何か食べたいものはある？それか、食べられそうなものとか」
「……ん………」
ぼんやりとした表情で考え込むA
ふとサイドテーブルのハッカ飴に目が止まる
そうか、あれは熱が出たからじゃないのかも
ハッカ飴なら、食べられるんだろう
郁弥「お粥とか、雑炊は？食べられそう？」
「お米は……ちょっと………」
郁弥「そっか。じゃあ、麺類は？」
首を横に振るA
「パンなら……真っ白い、焼き目の……ない………」
郁弥「うん、分かった。買ってくるから、Aは何も心配しないでいいから、寝てなよ」
「あ……と…」
きっと、ありがとう、と言いたかったのだろう
そこまでして無理に言わなくていいのに
本当にAは優しすぎる
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作者名：水音 | 作成日時：2023年10月14日 19時
