第1687話 ページ25
Aside
恋「えーっと………そうだな、まず先に謝っておきたいことがある」
「何？」
謝っておきたいこと？
恋ちゃん、何かミスしたの？
恋「会長にはAが妊娠したことを報告したんだ。まだ誰にも言わないように、って約束したけど、ごめんね」
「いや………恋ちゃんのことだし、何か理由があるんでしょ？」
恋ちゃんのことだ。ついうっかり、などはないだろう
恋「うん。今回話すことには会長も同席した方がいいと思って。………ストレスって妊婦には大敵だろう？それで、今回話す内容は、何というか………Aにとってそういう内容である………と、思うんだよね」
「つまり私にとってストレスになりうる内容………かつ、賢志郎さんも聞いた方がいい内容ってこと？」
恋「うん。………口で言うより早いから、とりあえずこれを見てほしい」
恋ちゃんが封筒を手渡してくる
いつのまにか会長も真面目そうな顔になっていた
封筒の差出人は………見覚えがある
あの人が……母さんであった人が収監されている拘置所からだ
すでに封を切られた封筒から一枚の紙を取り出す
紙を開く。驚いたことに、私の指はまったく震えていない
1番上に1番太い文字で印刷された
“死亡通知書”の文字
その下にある文章にさっと目を通すと、母………が、少し前に病気で亡くなった、という内容だった
「母が死んだってさ」
そう言って賢志郎さんに紙を渡す
無言で受け取り、私と同じように目を通す
賢志郎さんはそうか、と短く呟き、恋ちゃんに紙と封筒を返した
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作者名：水音 | 作成日時：2023年10月14日 19時
