第1678話 ページ16
Aside
「それは是非お願いしたいところだけど。……ねぇ、そんなに泣く？」
鼻までズビズビいわせている
ティッシュが尽きたのか、ハンカチで顔を拭い始める始末だ
恋「泣くに決まってるでしょ。俺はさ、Aがプライベートで……家族関係で色々ギクシャクしていたのを一番間近で見ていたんだから。それでさ、Aが家族としての幸せをやっと得られたんだなって思うとさ、それはもう………」
私は恋ちゃんではない。だから恋ちゃんが今抱いている感情の大きさも種類も想像してもし尽くせない
それでも、恋ちゃんがどれだけ私の幸せを願ってくれていたか、そしてどれだけ今喜んでくれているかが感じられる
「ありがとうね、そんなにも私のことを考えてくれて。………あ、そうだ。子供なんだけどさ」
言いかけてふと考える
双子、と言ったら恋ちゃんは驚いて事故ってしまうだろうか
いや、今更そんなことでは驚かないか
恋「何？」
「双子なんだって」
恋「えっ！」
さすが恋ちゃん、運転に乱れがない
恋「そっか、双子か………遺伝的に、珍しくもないのか。……あ、でも双子ってなると……」
「ん？」
恋「普通よりは早い時期に産休に入るのか。そうなると、スケジュール的に………あ、予定日はいつなの？」
「5月の2日。でも、あくまで目安だって。……それにしても、仕事モードに切り替えるの早いね」
恋「そりゃあ仕事だしね。産休まで仕事する？元々妊娠を予定して向こう一年半ぐらいは長期の仕事は入れてなかったけど、どうだろう。体調によっては、もっと早いうちから仕事休むことになるかもな………」
今後のことをぶつぶつと呟きながら考えている恋ちゃん
泣いて乱れた顔と、喋っている内容のギャップがすごい
「ほんと、頼りになるよね」
恋「知ってる。……あ、蒼とかには言うの？」
「次の検診で詳しいことがわかるみたいだから、その後にする。再来週とかかな」
恋「分かった。………俺、それまでバレないように過ごせるかな……」
「彩さんも蒼も勘がいいもんね。私から言うまで、絶っっ対にバレないようにしてね」
恋「………努力はする」
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作者名：水音 | 作成日時：2023年10月14日 19時
