第1384話 ページ20
遙side
「えっ？」
“帰る”。そう言っただけなのに、Aは驚いた声を出す
確かに、時間は遅いが終電までまだ時間はある
別に帰るのがおかしい時間ではない
「側にいてくれるんじゃないの？」
蒼の元を離れ、俺に駆け寄ってくるA
「さっきそう言ってくれたよね？」
さっきまで弱々しかったAの声が、強みを増す
俺の手首を掴むAからは、さっきまでの様子は微塵も感じられない
突然のことに驚き蒼を見ると、蒼も戸惑っているようだった
蒼「A………ほら、もう遅いから」
「終電までまだ時間あるよ？なんなら、泊まっていけばいいじゃん」
手首に込められた力が、さらに強くなる
Aの変わり様にただただ戸惑ってしまう
蒼「ほら、ハルは明日も練習あるから……ね、ハル？」
Aに見えない様に追い出す様なジェスチャーをする蒼
遙「ああ……悪い。今日は帰る」
「…………わかった。でも、俺が呼んだらできるだけ来て」
遙「……約束する」
そう言うと納得したのか、Aの手から力が抜けた
蒼「じゃ、じゃあ、私はハルを玄関まで送っていくから。Aは今日はもう疲れたでしょう？休もう？」
「………うん。絶対に来てね、ハル」
遙「………ああ」
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作者名：水音 | 作成日時：2022年4月17日 13時
