毒舌度３４６％ 理由の時間 ページ24
ーー…
カラッとした気持ちの良い風が頬を撫でる。暦の上では秋だが、良い天気でホッとする。
イトナ君がクラスに無事加入した翌日の朝。靴を履き替え、僕はポカポカ陽気な廊下を歩き出す。窓から溢れる日差しが気持ちいいと目を細めると、目の前で見慣れた桜色の髪が揺れる。日差しを浴び風にたなびく綺麗な髪。……Aさんだ。
珍しく遅刻ではない。むしろちょっと早い位だ。僕は後ろから近付き顔を覗かせた。
「Aさん、おはよ。今日は早いね」
『あ、渚〜っ！ おはよ、全然気付かなかった！』
「ボーっとしてたからじゃない？」
『可笑しいな。私のセンサーだけは常に完璧だと思っていたのに』
半ば冗談に聞こえるが、彼女は至極真面目な顔でそう言うものだから僕は苦笑を浮かべる。相変わらずだなって。
「カルマ君は一緒じゃないの？」
『私カルマと登校した事あったかな？』
「結構あるよ？」
『マジか！ じゃあ今日はそう言う気分じゃなかったんだよ！ うんうん！』
そんなたわいのない話をしながら教室に向かう。ドアを開けると一番乗り。何故かクラス委員の磯貝君や片岡さんも居ない。本当に珍しいな。
「……」
僕は乱暴に準備をしているAさんを盗み見る。筆箱を取り出し、バッテリーとナイフを机に入れ、スマホを確認するAさん。……やはり、準備はしてる。
丁度良い機会だと思った僕は、Aさんの席まで移動する。今度はすぐに気付きどうしたの？ とスマホから顔を上げ笑顔を見せてくれた。
僕はAさんの机に自分のゴム製ナイフを置き、ちょっとお話しようよ。と笑いかけた。
意外だったのか、Aさんはパチパチと赤い瞳を何度も瞬いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 315人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葵(プロフ) - 美遥さん» わざわざありがとうございます。ですが『』は敢えて使いました。特にキャラ指定がない場合や過去の言葉、電話などでは『』の表記を使うようになおしていたので。紛らわしくて申し訳ございません。 (2017年6月13日 20時) (
レス) id: 32c38c1366 (このIDを非表示/違反報告)
美遥 - 番外編が夢主とキャラの『』が同じになってたよ！ (2017年6月13日 20時) (レス) id: 40c06b65ac (このIDを非表示/違反報告)
サヤ - 番外編9の【涙が溜まって】が【涙が貯まって】になってたよ！1回で纏めて送らなくてごめんね｡昨日纏めて誤字報告し様と思ってたら誤字報告するの忘れてたらしく今気付いたよ…｡兵藤ちゃんの絵が当たり前だけど可愛くてさ！即保存し様かと思って殺ったら出来なかった… (2017年5月15日 20時) (レス) id: fb5777db69 (このIDを非表示/違反報告)
サヤ - part9 訂正おめでとう！タバスコジュースはね､バレンタインの日にトマトジュースって嘘吐いてタバスコは水で溶かして差し出せば良いよ｡甘党な人には効果抜群w (2017年5月14日 1時) (レス) id: fb5777db69 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 夢雪さん» “顔だけ”ってことですよねー。良いなぁ…そんな顔面偏差値欲しい…… (2015年12月30日 16時) (レス) id: dcc347a630 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葵
| 作者ホームページ：https://twitter.com/uranai_aoi/status/929368202894721025
作成日時：2015年12月10日 15時
