【赤羽 業】毒舌少女は元A組!!part13

毒舌度５０６％ ページ20

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　背後から名前を呼ばれる。

　正面のカエデちゃんは触手に侵されてる。殺気を隠さぬ瞳に怯んでる場合じゃない。





「カエデちゃん」


　偽名って言ってたその名を、私はいつものように呼ぶ。





「大好きだよ」


　気付いてあげれなくてごめんね。
　聞いてあげれなくてごめんね。

　でも、本当に大好きなんだよ。

　演じていたとか、偽名だとか、そんなの興味無い。

　私はここにいる茅野カエデが大好きなんだ。





　彼女の血走ってる目と合わせる。

　笑ってから、いつもの如く精一杯抱き着いた。





「信じてよ、私の事」


　私よりちょっと小柄なカエデちゃん。
　その体は熱くて震えていた。





　表情は見えないけど、殺せんせーに刺さっていた黒い触手がしなったのが分かる。





　……これじゃ、駄目だったのだろうか。
　私も刺されるのだろうか。





　それでも退こうとは思わなかったし、不思議と恐怖も無かった。

　冷静にせんせーの血を弄ぶ黒い触手を見定める。





　やめて。これ以上、カエデちゃんに触らないで。

　彼女を抱きしめる腕に更に力を込めた。









「っ、Aｯ！！」

「え……」


　ドンっと真正面から押された。思わずよろけてたたらを踏むが、カエデちゃんから手を離してしまった。

　目の前スレスレに黒い触手が地面に突き刺さる。





　……カエデちゃんに突き飛ばされた。
　触手のターゲットは私に移ったんだ。

　だからカエデちゃんは私を突き飛ばした。

　迫ってくる触手を目の前に、冷静な頭で状況を理解した。





「Aさんｯ！！」

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