74話 映画のワンシーン ページ26
ゲン side
狂犬ちゃんは流石と言うべきか
あのクソ痛いパンチを繰り出すマグマちゃんに
平然と蹴りを仕掛けている
彼も彼でパンチを悉く避けられることに
イラついているのか
その怒りさえも力に変換して
それはもう大層なパワーを発揮している
あんなのマトモに喰らったら
骨の1、2本は絶対折れるでしょ
どっちもバイヤーすぎ、と
どうでもいいことを思う
でも仕方ないのだ
それぐらいしか出来ないのだから
加勢も応援も呼べない自分に
歯痒く思うことすらないとは
もはや自分でも呆れてしまう
ガンッ！
ドギャッ！
物騒な殴り合いを前に
ただ呆然と見物する
というか安静にしてないとジーマーで痛いし
顔を伝う生温い感覚に
何とか手を動かし拭う
指先には当然のごとく赤い血が付いていた
ゲン｢はぁ……｣
思わずため息を零す
と、
ズルズルと力が抜け
木に身を任せて座り込んだ
ゲン｢ははっ…これ、バイヤーかも……｣
立とうにも力が入らないことに
今の状態を察する
狂犬ちゃんが来てなかったら
俺殺されてたんじゃ…
と、最悪の未来に身震いを1つ
すると、
ゲン｢っ、！！！｣
どこかからの強烈な"殺気"
それはメンタリスト故か、すぐに察せた
｢死ねぇぇぇ！！！｣
恐らくマグマちゃんと一緒にいた他の男
ソイツが、
俺目掛けて槍を振り下ろしていた
まるでスローモーションの映画を見ているようだ
ただ漠然と、
鈍く光る切っ先に、
あぁ、自分は死ぬのかと
どこまでも他人事に捉える自分に
やっぱり呆れてしまう
死ぬならせめて
コーラの1本くらい飲みたかったと
薄っぺらい願望を胸に
静かに目を閉じる
しかし、いつまで経っても来ない痛みに
もしや即死で既に死んだ？
なんて思いながら目を開ける
目の前に佇む、
視界に映る白が、
とても眩しく思えた
不思議と驚きはなかった
何となく助けに来るんじゃないかと、
そう予感していたのかもしれない
ポタポタ零れ落ちる鮮血
サラサラと揺れる髪
敵の、男の息を飲む音
しばらくそんな音ばかりが聞こえる中
ベキッという音がした直後、
低く唸るような、
そして嘲るような、
そんな声が発せられた
『テメーがその気なら、俺はここで皆殺しだって出来るんだぜ？』
それは
いつか聞いた、
猛獣の気配に紛れて
鼓膜を揺らす、
背中が粟立つような声だった
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雨迷(プロフ) - この作品大好きです！これからも応援してます！ (2022年5月14日 12時) (
レス) id: 78a4c6a909 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 教えて頂きありがとうございます！そういう事だったんですね…早く読めるの楽しみにしています。 (2022年5月13日 20時) (レス) id: a78013dc1d (このIDを非表示/違反報告)
脅威のセラフ@wrwrdファン(プロフ) - 桜花さん» おそらく、下書きをしてそれを非公開として保存しているのだと思いますよ♪ (2022年5月13日 20時) (レス) id: 602d714d2e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - [更新されました]ってなってて、物凄く読みたいのに見れないのってWi-Fiとかが悪いからなんですかね…。ホントいつもいつも「いつ更新されるかなー」ってとても楽しみにしているんですけど…なんか知っている事があったら教えて欲しいです。 (2022年5月13日 20時) (レス) id: a78013dc1d (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - 狂犬君が一体過去に何をしたのかめめめめちゃんこ気になる〜！！ (2022年5月2日 1時) (レス) @page9 id: 9db3f9f6b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨宮夜空 x他1人 | 作成日時：2022年4月22日 19時
