63話 騙される人より ページ15
A side
しばらくは2人とも口を開かなかった
ざぁざぁと雨が世界を濡らす
ゲン｢それで、悩み事は解決した感じ？｣
不意に、メンタリストが言葉を零す
どうやらそのことを雰囲気に流す気はないらしい
せっかく話を逸らせたと思ったのに
『……悩み事なんてねェよ。勝手に勘違いしてんじゃねェ』
コイツに、
コイツらに、気づかれる訳にはいかない
特に、アイツらには＿＿＿＿＿＿
ちらと後ろを見やる
そこには変わらない幼なじみの姿があった
馬鹿やって怒られて
それでいて楽しそうに笑っている
それが痛いくらいに眩しすぎるから
俺は目を細めた
太陽は出ていないのに
目に入れたくない程に輝いていて
だからこそ、その輝きは壊れて欲しくなかった
たとえ、アイツらを傷つけても
アイツらにはずっと
笑っていてほしいと思うから
そのためなら俺は
嘘をつくのだって厭わないはずだ
胸の奥が痛むのなんて、とっくの昔にもう＿＿＿＿＿＿
ゲン｢あのさ、｣
ふと、声が聞こえて我に返る
思考の海に潜ってしまうのは
俺の悪い癖だ
突如として聞こえた声に
はたとその場に立ち止まった
ゲン｢これは独り言なんだけど｣
勿体ぶったように話し出すコイツに
苛立ちが募るが
怒鳴る気さえ起こらなかった
ゲン｢騙される人よりも、騙す人の方が、ずっと苦しいよ｣
『……は、？』
何を言っているのか、
ほぼ無意識のうちにその一音が口から漏れた
他に何を話せばいいのか、俺には分からなかった
ただ、コイツはきっと何かを伝えようとしている
それだけは妙に確信して言えた
『……どういう意味だよ』
ゲン｢言ったでしょ？これは独り言だって｣
どうやら、他に何かを話す気はないらしい
それきり口を噤んだ様子のコイツに
俺は一言こう言った
『……俺お前のこと嫌いだわ』
その一言でどうこうなる訳でもないが
なんとなくそう伝えてみた
しかし、なんの反応も示さないコイツに
俺は早々に諦め、
先の言葉の意味を考えるべく
またゆっくりと歩みを進めた
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雨迷(プロフ) - この作品大好きです！これからも応援してます！ (2022年5月14日 12時) (
レス) id: 78a4c6a909 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 教えて頂きありがとうございます！そういう事だったんですね…早く読めるの楽しみにしています。 (2022年5月13日 20時) (レス) id: a78013dc1d (このIDを非表示/違反報告)
脅威のセラフ@wrwrdファン(プロフ) - 桜花さん» おそらく、下書きをしてそれを非公開として保存しているのだと思いますよ♪ (2022年5月13日 20時) (レス) id: 602d714d2e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - [更新されました]ってなってて、物凄く読みたいのに見れないのってWi-Fiとかが悪いからなんですかね…。ホントいつもいつも「いつ更新されるかなー」ってとても楽しみにしているんですけど…なんか知っている事があったら教えて欲しいです。 (2022年5月13日 20時) (レス) id: a78013dc1d (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - 狂犬君が一体過去に何をしたのかめめめめちゃんこ気になる〜！！ (2022年5月2日 1時) (レス) @page9 id: 9db3f9f6b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨宮夜空 x他1人 | 作成日時：2022年4月22日 19時
