優しき鬼は想い続ける

笑顔 ページ9

炭治郎は囲炉裏の前へと座った

火に掛けられた鍋からは食欲を唆られる香りが漂っていた

鬼は鍋の蓋を開けると、柔らかそうな牛肉やよく煮込まれトロトロになった旬の野菜などを茶碗によそう

『はい、どう、ぞ！！』

炭「ありがとう………頂きます」

戸惑いつつも茶碗を受け取り、炭治郎は一口食べる

炭「……ん、美味い！！」

余りの美味しさに目を丸くする。思っていた通り牛肉は柔らかく、野菜はトロリと口の中で蕩けた。出汁も優しい味わいで、凄く食べやすい。

一口、また一口と食べ進める炭治郎を嬉しそうな顔で鬼は見ている

『ふふっ、うまい、かぁ…そうかぁ……えへへっ、うれ、しい……』

にんまりと牙を見せて笑う鬼の笑顔に、俺は見惚れてしまった

こんなにも嬉しそうな顔で笑う人は初めて見た

(何だが俺まで嬉しくなってきたな…)

そう言えば、まだ自己紹介をしていなかった

俺は茶碗と箸を置くと、鬼に向き直った

炭「自己紹介が遅れてしまったな…俺は鬼殺隊、竈門炭治郎だ！！」

『たん、じろ…？』

炭「ああ、よろしく頼む！！」

『たんじろ……いい、名前…』

そう言って鬼はふにゃりと笑った

炭「そうかな…？ありがとう！！君の名前は？？」

『わた…しは、A よろ、しく…！！』

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