不思議な鬼 ページ8
パチッパチッ
近くで薪の燃える音がする
身体全体が暖かく、とても心地良い
うっすらと目を開けると、薄暗い天井が視界に広がった
(あれ…雪山に居たはず……もしかして、鱗滝さんが……?)
しかし、見覚えのない天井だと分かると意識は段々はっきりとしてきた
炭「…此処は…どこだろう…?」
ゆっくりと身体を起こし、辺りを見回した
(鱗滝さんの家では無い……となると、誰かが助けてくれたのだろうか……?)
寝ていた布団の傍には囲炉裏があり、パチパチと薪を燃やしていた
炭「スンスン)…いい匂いだなぁ……」
障子を開けた直ぐそこが台所なのだろう、何かを包丁で切る音やグツグツ煮立てる音が聞こえる
料理を作るその人が自分を助けてくれたのだろう…と炭治郎は確信した。
炭「助けてくれた御礼を言いたいが…料理の邪魔になってしまうだろうか……少し待っていよう」
炭治郎は待っている間、囲炉裏の火を眺めていた
ーーーー
炭「そろそろ頃合いだろうか……」
炭治郎は様子を伺おうかと思ったその時、ガラッと障子が空いた
炭「あ…あ、あの!!この度は助けて頂きありがとうございます!!」
急いで頭を下げ、御礼を言う
しっかり御礼を言い終えると、炭治郎は頭を上げた
だがその者を見た瞬間、炭治郎は目を大きく見開いた
炭「……………は、」
腰まで伸ばされた長く真っ直ぐな髪は黒炭のように黒く、肌は雪のように白かった。それに加え、すっと通った鼻筋は綺麗な顔立ちを窺わせ、ぷっくりとした唇は可愛らしさを感じさせた。
一見、普通の少女に見えた………しかし、綺麗な菫色の瞳には細長い瞳孔がくっきりと示され、長く鋭利な爪は瞳同様に菫色。可愛らしい口元からは想像も付かぬよう、牙が生えている。
この状況を飲み込めずにいる炭治郎は暫し固まっていた。
鬼はそんな炭治郎を余所に、両手に持っていた鍋を囲炉裏の火に掛けた
炭治郎を襲う気は全く無く、淡々と茶碗やら何やらを準備している
炭「襲わない……のか?」
自分を助けてくれたのだから、それは何となく分かっていたものの…鬼殺隊としてはやはり気にしてしまう所であった
しかし、それ以前に不思議な事を感じた
(…この鬼……“鬼の匂い”がしない……)
見た目は間違いなく鬼だ……それなのに……
うん…?と首を傾げていると、準備をし終えたであろう鬼は炭治郎に手招きをしていた。
『おい、で!!ごはん、たべよ!!』
そう言って優しく微笑んだのであった。
114人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
豆大福 - はじめまして!そのようなお言葉を頂けて嬉しいです!体調管理も整えた上で更新します。貴方様もご自愛ください。 (2021年9月17日 23時) (レス) id: dfee756c2e (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして!!このお話凄く大好きです!!炭治郎くんめっちゃ大好きです!!お話続き楽しみにしてます!!コロナで大変ですが、お体には気を付けてくださいね!! (2021年9月13日 23時) (レス) id: d237d559b7 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア☆姉貴 - 豆大福さん» 太陽は克服しているため、日中でも外出は出来る。屋敷には藤、薔薇、コスモスの花が植えられている。 (2021年6月2日 18時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア☆姉貴 - 豆大福さん» 青葉の口ぐせは「教えてもらうんじゃない!!!!見て盗め!!!!」 (2021年6月2日 16時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア☆姉貴 - 豆大福さん» そして、漆ノ型の雪の癒しは自分の怪我と味方複数の怪我を癒すため、かなりの体力を消費する。 (2021年6月2日 14時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:豆大福 | 作成日時:2020年8月20日 0時