優しき鬼は想い続ける

謎の足音 ページ7

鬼「うっ！！」

鬼の腕が一本切れた

痛みに苦しむ鬼だが、体制を整える前に炭治郎を木へと投げ飛ばした

炭「くっ！！」

強く頭を木に打ち付けた

(痛い……だが、石頭で良かった……)

幸いかすり傷程度で済んだようだ

鬼「ゔぅ……」

鬼の身体は大きく、3メートル程あるように思えた

これ程までに大きいと、どの場所に居ても直ぐに見つかってしまうだろう

となると、考えられるのは一つ

炭「全力で攻め込むしか無い……！！」

鬼に隙を作らせる為、連続で技を繰り広げる……この間にほんの一瞬の隙が出来れば良いのだが……

こう考えている間にも鬼は襲ってくる

炭「やるしかない……！！」

俺は鬼との間合いを一気に詰め、刀を振りかざした

【全集中 水の呼吸 壱ノ型 水面斬り】

鬼「っ！？」

【弐ノ型 水車】

鬼「くっ……こいつ……！！」

鬼は血気術で対抗しようとしたが、その隙は決して与えないように技を出し続けた

【参ノ型 流流舞い】

鬼は完全に身動きをとる事が出来なかった

(今だ……！！)

【水の呼吸 捌ノ型 滝壷】

その瞬間、見事鬼の首に刀が入った

鬼「うあっ！！」

炭「手応えありだ！！」

刀は鬼の首を斬った

宙を舞った鬼の首は、ポトリと地面に落ちる

鬼「何故…何故だ……私は……あぁぁぁ！！」

鬼は悲痛な叫びを上げると、静かに消えていった

炭「…来世は幸せになれますように」

いつものように祈り終わると、全身の力が一気に抜けていく

炭「やった……ぞ、鷹虎……君の仇を……討てた…っ」

呼吸を使い過ぎたせいか、肺をかなり酷使したようだ

炭「い、息が…っ……」

何とか立ち上がろうとするも、身体が言う事を聞かない

それでも必死に歩き続けたが、辺りは吹雪のせいで視界が悪く、思うように前へと進めなかった

(ここに来て疲労が来るとは……)

炭治郎は前へ進もうとするが、視界がぐらぐらと揺れ始めた

炭「ダメだっ……こんな所で倒れたら……確実に死んでしまう…」

だがしかし、視界は揺れるばかりで息も苦しくなってきた

帰るって……約束したんだ……

炭「禰豆子……皆……俺は……っ……」

俺の意識はそこで途絶えた

山の吹雪は強さを増し、倒れた炭治郎の上に雪が降り積もり始めた

ザッザッザッ……

その時、何処からか雪を踏みしめる足音が聞こえた

その足音は炭治郎の前で止まった

その者は背負っていた山菜籠を降ろすと、炭治郎を肩に背負い山の奥深くへと消えていったのであった。

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