夜の街 ページ16
炭「はぁ…流石に二日間ぶっ通しの任務は疲れるなぁ…」
俺はフラフラと夜の街中を歩いていた。
禰「むー?」
隣を歩く禰豆子は心配そうな顔をしていた。
炭「大丈夫だぞ、少し疲れただけだ!」
禰「むー」
禰豆子が俺の頭に手を伸ばし、撫でてくれた。
炭「ありがとう禰豆子」
禰「むー!」
禰豆子の優しさに俺はついつい甘えてしまう事がある。
長男として情けないと思うが、俺を見上げながら笑いかける禰豆子を見て、悪くないなと思う。
夜の街中は人で賑わっていた。
花街……とまでは行かなくともそうゆう店はあるもので…街中を歩く大人の男に、着物を美しく身に纏った女性達が、淫らな匂いを漂わせながら声を掛ける。
俺も何度か目が合ったが、慌てて逸らした。
炭(やはり夜の街は凄いな……)
見てるこちらが恥ずかしくなるほどだ。
炭「(早い所通り過ぎてしまおう)」
そう思い、早歩きで街中を歩いた。
炭「…!!(クンクン」
ふと、身に覚えのある匂いが何処からか漂ってきた。
この匂い……まさか……
匂いを辿っていくと、そこは歌舞伎座だった。
老若男女問わず、沢山の観客で賑わっている中、匂いの正体がそこには居た。
炭「A!!」
俺がそう叫ぶと、Aは辺りを見回し始めた。
炭「ここだ!」
手を振ってやると、Aは驚いたように目を見開いた後、直ぐに笑顔で駆け寄って来た。
『たん、じろ!!』
鈴を転がしたような優しい声で俺の名前を呼ぶ。
炭「A、何でこんな所に!」
そう聞くと、Aは嬉しそうに笑いながら言った。
『かぶき、みたくて、きちゃった!』
そう言ってはしゃぐAに思わず笑みが零れた。
炭「歌舞伎を見たくて吹雪山からわざわざこんな所まで来たのか?」
『うん!!すごく、たのし、かった!!』
炭「良かったな!」
『へへっ』
にへら、と笑うAにまたもや胸が擽られた。
この感覚……前にも感じた事がある…一体何だと言うのだろう……
『たんじろ?だい、じょうぶ?』
炭「あ、ああ!大丈夫だぞ!」
笑ってみせると、Aも安堵したように笑った。
その後、俺はAと少し街中を歩いた。
俺の首元ぐらいの背丈しか無いAは、小さく小柄で愛らしかった。
瞳の中の瞳孔は人と変わらず、手の爪も丸い。
鋭利な牙は勿論無く、ぷっくりとした唇があるだけだった。
街中にくり出す為に、人間に化けているんだろう。
彼女が人間だった時の姿が見て取れて、俺は嬉しかった。
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豆大福 - はじめまして!そのようなお言葉を頂けて嬉しいです!体調管理も整えた上で更新します。貴方様もご自愛ください。 (2021年9月17日 23時) (レス) id: dfee756c2e (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして!!このお話凄く大好きです!!炭治郎くんめっちゃ大好きです!!お話続き楽しみにしてます!!コロナで大変ですが、お体には気を付けてくださいね!! (2021年9月13日 23時) (レス) id: d237d559b7 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア☆姉貴 - 豆大福さん» 太陽は克服しているため、日中でも外出は出来る。屋敷には藤、薔薇、コスモスの花が植えられている。 (2021年6月2日 18時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア☆姉貴 - 豆大福さん» 青葉の口ぐせは「教えてもらうんじゃない!!!!見て盗め!!!!」 (2021年6月2日 16時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア☆姉貴 - 豆大福さん» そして、漆ノ型の雪の癒しは自分の怪我と味方複数の怪我を癒すため、かなりの体力を消費する。 (2021年6月2日 14時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆大福 | 作成日時:2020年8月20日 0時