優しき鬼は想い続ける

かまぼこ隊 ページ15

俺はAの事を全て話した。

善逸達は興味深そうに話を聞いていた。

善「へぇ！禰豆子ちゃん以外にも人を食わない鬼が居たんだな！」

炭「うん」

善「その鬼はどんな奴なんだ？」

炭「とても優しくて、とても綺麗な鬼だ」

善「綺麗…？」

炭「ああ！それはもう凄く綺麗なんだ！！長い髪は黒炭のように真っ黒で……」

その時、物凄い形相で善逸が俺の胸ぐらを掴んだ。

炭「なっ！！善逸！？」

善「炭治郎……いいご身分だなぁ……」

炭「な、何がだ！？」

俺がそう言うと、善逸は発狂し始めた。

善「綺麗！？綺麗！？はぁぁぁぁ！？つまりそれって女の子って事でしょぉぉぉ！？」

炭「あ、ああ…」

善「はぁぁぁぁ！？女の子と！一晩一緒に過ごしたの！？ざけんなぁぁぁぁぁ！」

炭「お、落ち着くんだ善逸！！」

善逸は発狂し出せば中々収まらない。

それからは善逸が炭治郎を追い掛け、後から伊之助も乱入して来て、てんやわんやになった。

ーーーー

炭「1699…1700…！！」

非番の日、俺は蝶屋敷で素振りをしていた。

善「ひぃ…ひぃ…も、無理だわ…」

善逸は汗をダラダラと流しながら、犬みたいに舌を出していた。

俺も善逸も互いに疲れきっていた。

一人を除いては…

伊「まだまだぁぁぁ！！」

伊之助は相変わらず木に体当たりしたり、一人で刀を振り回していたりした。

善「うり坊は元気過ぎんだよ……俺もう無理」

炭「頑張るんだ善逸、ここで頑張らないと鬼に勝てないぞ」

善「だーかーら！俺は幾ら鍛錬したって弱いんだよ！！分かる！？」

善逸は頭を抱えて一人叫んだ。

炭「はぁ……」

その時、バサバサッと羽音が聞こえてきた。

「カマドタンジロウ！カマドタンジロウ！
ニンム、ニンム！！」

鎹鴉が指令を叫びながら辺りを飛び回った。

炭「分かった！直ぐに向かう！」

俺は急いで隊服の上を羽織ると、腰に刀を差した。

善「えぇぇ！？炭治郎、任務に行くのか！？」

炭「当たり前だろう、鬼殺隊なんだから」

善「いや正論！正論だけどもっっ！？」

俺が単独任務に向かう時、善逸はいつも挙動不審になる。

まぁ、そんなに気にしていないけど。

善「死ぬなよ！？お前が死んだら俺を守る奴が居なくなるからな！！」

炭「分かってる、約束するよ」

俺は禰豆子が入った箱を背に背負うと、善逸達に手を振った。

善「え？禰豆子ちゃん連れてくの？」

炭「ああ」

善「あっ、そう…気を付けて」

善逸は魂が抜けたようにフラついたのだった。

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