冷たい手 ページ13
冬の朝はつんと空気が澄み渡っていて心地良い。
はぁ…と白い息を吐きながら、俺は薪を運んでいた。
辺りは一面真っ白な雪で覆われていて、自分の故郷である山を思い出す。
炭「俺が住んでいた山も、冬はこんな感じだったな」
ただ一つ、この山には陽光が射し込んでいた。
普通、雪山と言うと陽光が射し込むのは中々珍しい事だと思ったが、吹雪山はそうでは無いらしい。
しかし、不思議な事に陽光が射し込んでいるのにも関わらず、雪が一向に溶けない。
それよか、陽光が雪に反射して辺りを美しく輝かせていた。
俺は不思議に思いながらも、自然の美しさをじっくりと堪能していた。
炭「久しぶりに薪を背負ったなぁ…」
こうやって薪を運んでは風呂を沸かしたり、煎餅を焼いたりしたものだ。
炭「懐かしいなぁ……」
あの頃に戻りたい、そう思った。
けれど、失ってしまったモノはもう戻る事は無いんだ。
俺はグッと零れそうな涙を堪え、Aの元へと薪を運んだ。
ーーーー
炭「薪はこれぐらいで良いのか？」
俺は背負っていた薪を肩から下ろすと、それを腕で抱えてAに渡した。
『うん！！だい、じょうぶ！』
Aは満足そうに頷いた。
炭「大変だな、いつも薪運びを一人でやっているのか？」
『うん。でも、たの、しい！』
Aは無邪気な笑顔で言った。
料理に洗濯、薪運びに買い出し、掃除なんかもあるのだろう。
Aの手は少し赤切れていた。
そりゃそうだ…こんな雪山で水仕事をしたら、幾ら鬼だろうと手は荒れてしまうだろう。
気付けば俺は、Aの手を両手で握り締めていた。
炭「寒いだろう、少し暖めてやるからな」
はぁっ…とAの手に息を吐く。
Aは驚いた様に目を丸くしていたが、徐々に手先が暖まっていくのを心地良く感じたのか、嬉しそうに微笑んでいた。
大分手先が暖かくなった頃、俺はある事に気が付いた。
待てよ、幾ら鬼だからと言って嫁入り前の娘の手に息を吐きかけるなんて失礼なんじゃ……
みるみる顔が青ざめていき、炭治郎は勢いよく頭を下げた。
炭「す、すまない！幾ら君が鬼だからって、嫁入り前の君の手に息を吐きかけるなんて！！」
俺はダラダラと額から汗が滴り落ちた。
しかし、そっと俺の頬に白く柔らかい手が添えられ顔を上げるよう促された。
見れば、Aは優しく微笑んでいた。
『ありが、とう。あた、ためて、くれて』
優しいその眼差しに、俺は息を飲んだ。
なんて…愛らしいのだろう…
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豆大福 - はじめまして！そのようなお言葉を頂けて嬉しいです！体調管理も整えた上で更新します。貴方様もご自愛ください。 (2021年9月17日 23時) (
レス) id: dfee756c2e (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして！！このお話凄く大好きです！！炭治郎くんめっちゃ大好きです！！お話続き楽しみにしてます！！コロナで大変ですが、お体には気を付けてくださいね！！ (2021年9月13日 23時) (レス) id: d237d559b7 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア☆姉貴 - 豆大福さん» 太陽は克服しているため、日中でも外出は出来る。屋敷には藤、薔薇、コスモスの花が植えられている。 (2021年6月2日 18時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア☆姉貴 - 豆大福さん» 青葉の口ぐせは「教えてもらうんじゃない！！！！見て盗め！！！！」 (2021年6月2日 16時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア☆姉貴 - 豆大福さん» そして、漆ノ型の雪の癒しは自分の怪我と味方複数の怪我を癒すため、かなりの体力を消費する。 (2021年6月2日 14時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆大福 | 作成日時：2020年8月20日 0時
