有毒度91% ページ6
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学秀のナイフはきちんとカルマの脇腹に向いていたが、コイツの恐ろしい所はまたもやちゃんとナイフの刃を握り込んでいた。こんなのが身近にいると言う事実が嫌だね。
このまま硬直だと決着はつかないだろうと前原と別れて二人の傍まで駆け寄る。
「おら、終わりだ!」
「テスト前に怪我すんなって言ったでしょ」
カルマの肩を叩き、前原は学秀からナイフを奪うと、流石にカルマも学秀の首から手を離した。
「……ッゲホ……っ、お前、E組の……」
「おう、Aに呼ばれてよ。どーだったよ初喧嘩」
「チッ……結構良いの入ったんだけど。十分経った?」
「勝敗は引き分けじゃ駄目?」
「はァ? どう見たって俺の勝ちでしょ」
意外と冷静になってたみたいだ。時間も把握はしてるらしい。しかし怪我されても困るのでやはりこのまま終わりだ。
「じゃあカルマの勝ちでもいいけどさ。で、勝ったらどうなんの?」
「は?」
「つーか何が原因で喧嘩したのか聞いていい?」
「……」
凄い静寂だ。目の前のカルマは勿論、学秀と途中から来た前原までもの視線が刺さる。
「…………えっ、本当に私のせい? なんかしたっけ……?」
「あーー、俺はさっきコイツと話してて何となく分かった。浅野、カルマちょっとこい」
馴れ馴れしく掴まれる事が嫌いな二人にも容赦なく肩を組んだ前原は、何故かこの場を去る。後ろ姿は見えるけど、話し声までは聞こえない。
『私聞いておきますか?』
「いや興味無い」
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作者名:葵 | 作者ホームページ:https://twpf.jp/uranai_aoi
作成日時:2024年1月20日 13時