有毒度88% ページ3
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とん、と学秀が地面を蹴ったのを合図に私はそそくさと木の上に避難する。絶対巻き込まれたくない。
学秀の伸ばした腕をカルマが捌いて左の肘を下から撃ち込むが、学秀はしっかりナイフの柄で落とす。そのナイフが腹部に向かったが、事もあろうかカルマはナイフの刃を手で握り込んで止めた。
仮にあのナイフが本物であろうと、あれくらいでは死なないだろうと私もスルーしたが、学秀は僅かに動揺していた。まぁ確かに普通の感覚ではないよね。
そのまま力任せに学秀のナイフも取れると良かったんだろうけど、すぐに学秀はナイフを取ったカルマの手に負荷をかける。あのままだと腕の骨折れると思ったのは私だけじゃなかったみたいだ。ナイフを奪う事を諦めたカルマが距離を置く。
「あっぶな〜。怖いことするじゃん」
「ギブアップか?」
「まさか。これじゃ死なないし」
学秀ってきっと喧嘩とかしてないだろうけど、昔から武道かなんかやってた気がする。おじさんに勝てるようにって。
対してカルマはまぁ脳筋だと私は思ってる。わかるわかる、結局腕力って正義だよな。
ある意味この二人の戦い私だけ見てるのも勿体ないよな。
時間を計っていたスマホの存在を思い出した私は、E組のグループに一言。
A後5分くらいカルマと学秀がち喧嘩してるから、見たい人何時もの裏山集合
早速既読が着いたのを確認して、私は再び気ままな観戦に戻った。誰か来ないかな。
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作者名:葵 | 作者ホームページ:https://twpf.jp/uranai_aoi
作成日時:2024年1月20日 13時