有毒度87% ページ2
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はい、スタート。なんて覇気の無い声でパンっと叩かれる手のひら。
まさかこんな形で浅野クンと喧嘩できるなんて思わなかった。まぁ喧嘩にルールもないけど。
……昔から何となくコイツとは相性が悪いと思っていた。
だってムカつくじゃん。幼馴染だか腐れ縁だか知らないけど、何かと二人でいるのを良く見かけていた。
俺とAが付き合う前だったらまだしも、高校に入ってからも何だかんだ二人で居残りするってどういうつもりだよ。怒っても許されるだろ。
しかも鈍いAがよく分かってないのも勿論ムカつくけど。
恐らく浅野クンは分かってる。分かってて喧嘩売ってくるなんて良い度胸だ。
そんな鬱憤を晴らせる良い機会だ。幸いルールもあるし、Aもいざとなったら止めてくれると考えると、そこそこ本気でやってもいい気がする。
浅野クンがどう来るか分からないけど、喧嘩は俺に利がある。
ナイフを使うのはもう少し様子を見てからで良いだろうと最初からナイフは出していない。相手もそれに気付いている。
「お先どーぞ」
「余裕だな」
あの構え、合気道とかかな。そういやAも武道経験無い癖に上手かったもんな。そんな些細な共通点すら嫌になる。心狭くて悪かったな。
でも合気道って攻撃する、みたいな形式殆どないんじゃないっけ。あくまで護身目的って何かで見たな。
油断は禁物だ。初手は俺から絶対に出さない。その意思を汲み取ってか、浅野クンが軽やかに地面を蹴った。
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作者名:葵 | 作者ホームページ:https://twpf.jp/uranai_aoi
作成日時:2024年1月20日 13時