奇妙な男達 ページ5
.
車通りの多い道を過ぎ暫く揺られていると、景色は閑静な住宅街へと変わっていた。
車が進むにつれて段々と景色が寂しくなってきたな、と呑気なことを考えていると車はキッ、と停まった。
「降りて」
ぶっきらぼうにそう言い放ち男は早々に車から降りていた。
言われるがまま外に出ると、目の前にはドラマの中でしか見た事のないような大きな門がずっしりと構えられており、中央に複雑な模様で装飾された蟇股がこの可笑しな状況を現しているかのようで、居心地が悪かった。
男が門の前で私の隣に立つと、門扉は響くような音を立てて開いた。
…なんで勝手に開いたんだろう。もう細かいことは気にしないでおこうか。
門があれだけ大きかったこともあり、玄関も相応の広さだった。意外だったのは、和風テイストな外観に反してホテルライクな内装だったことだ。
見慣れた我が家とのギャップに放心してしまい、「何してんの、早くして」と急かされ我に返って、広い廊下の真ん中を歩く男の後ろを必死に着いていく。
「…あの、私どこに連れてかれるんですか」
「上司のとこ」
ノールックでそう告げられる。
私に対して思いやりを持って欲しいとは思わないが、せめてもう少し詳しい説明を付けてくれると有難い。
さっきまではこれからの事なんて気にならないなんて思っていたけれど、さすがにこんな怪しい建屋に連れてこられたら少しでも情報は仕入れておきたいものだ。
廊下の奥の突き当たりまで来ると、グレーのドアが現れた。
男も足を止めたのでここが例の上司の部屋なのだろうか、と思っていた矢先、男はノックもなしにバン！とドアを開けた。
「ヒョン、遅かったね？」
「色々手間取ったんだよ」
「へえ、珍しい」
部屋の中には先程まで二人で戯れていたような様子の切れ長の目が特徴的な金髪の青年と、額に大きなゴーグルをはめたパーマヘアーの青年がいた。
ビリヤード台を通常よりも大きく改造したテーブルに腰掛け、金髪の青年は何故か傘の手元や石突を丁寧に磨いていた様子だった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 575人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ニナ - コメント失礼します！もうストーリーがタイプすぎます！更新楽しみに待っています！ (4月21日 10時) (
レス) id: 86d1e90db7 (このIDを非表示/違反報告)
ユジ(プロフ) - 面白そうな作品です🤭更新楽しみにしてます！😻 (3月4日 13時) (レス) @page6 id: 9c971eb260 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：浅葱 | 作成日時：2024年3月3日 13時
