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あいつ元気？てか名前なんだったっけ、と男は話しかけてくるがスンミンさんは全く答えない。
恐る恐る見上げると、彼は変わらず涼しい表情だった。けれども、沸々と湧き上がる怒りを隠すことは出来ていなかった。
｢お前、五月蝿いよ｣
スンミンさんは冷たく鋭い眼差しのままそう言い放ち、手にしていたハンドガンの銃口の先で男を捉えて迷わず撃ち抜いた。
弾丸は男の左肩を掠め、｢ぐぁああっ！｣と痛みに苦しんでいた。その隙にスンミンさんは私を引っ張って部屋の中へと入っていき、二人一緒にしゃがんで物陰に隠れる。
どうしてあの男はレーダーに映らなかったんだろう…！
いることがわかっていればもっと対策が練れたのに。
先程の恐怖がまだ身体にこびり付いていて、もうこの任務が上手くいくとは思えなくなってしまった。
ハヌルとジョンインくんの為に頑張りたかったのに。悔しい、悔しい。涙がぼろぼろと溢れて、しゃくりあげてしまう。
｢…ちょっと、泣かないでくださいよ｣
｢す…ッ、すみません、｣
ピンチの最中に隣でこんなに泣かれたら、スンミンさんもどうしたらいいかわからないだろう。彼にも申し訳なくなって、涙はなかなか止まってくれない。
彼は最初こそ戸惑っていたもののすぐに泣き止まない私に痺れを切らしたのか、ハンカチを私の顔にグイッと押し付けて、着ていたジャケットを頭から被せてくれた。
｢女性が泣いてる時、どうしたらいいかわからないんで…｣
鼻をすすりながらスンミンさんはそう言ったけれど、ジョンインくんが彼は不器用だけれどとても優しい人だと話していたから、これはある種照れ隠しと言ってもいいのかもしれない。
任務の前、私に足手まといだといったのもきっと私に危険が及ばないようあえてきつい言い方をしてくれたのではないだろうか。
もちろん彼の本心かもしれないし真相はどうかわからないけれど。
＿＿＿＿＿暫くお互い何も話さなかった。けれどその沈黙を破ったのは意外にもスンミンさんの方だった。
｢さっき、驚きませんでしたね｣
｢…銃のことですか？驚きましたよ｣
｢そうじゃなくて！ジョンイニのことです。知ってたんですか？ジョンインのことも、僕が、その…｣
言葉が詰まっているのを見ると、彼は自分が組織の跡取りであることを話すのが億劫らしい。
先ほどの男のように跡取りであることをひけらかしてヘラヘラしているのに比べたら、彼がどれほどの良識人なのか見てとれる。
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ニナ - コメント失礼します！もうストーリーがタイプすぎます！更新楽しみに待っています！ (4月21日 10時) (
レス) id: 86d1e90db7 (このIDを非表示/違反報告)
ユジ(プロフ) - 面白そうな作品です🤭更新楽しみにしてます！😻 (3月4日 13時) (レス) @page6 id: 9c971eb260 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：浅葱 | 作成日時：2024年3月3日 13時
