不器用な優しさ ページ17
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少しでもスンミンさんの役に立てるよう何か出来ないかと、彼と仲のいいフィリックスにアドバイスを貰いに行こうと部屋を出たタイミングで、恐れていたことが起きた。
「お姉さん、今ちょっといい？」
アイエンさんがわざわざ足を運んで来てくれたようだ。それも手土産を持って。
大きめの口をニッと広げて笑っているようだが、私を見る目がちっとも笑っていない気がする。
アイエンさんを部屋に招き入れ、お茶でも飲みますかと振り向くと、既に彼は向かい合わせに置かれたティーテーブルに腰掛けていた。
キョロキョロと部屋の中を見渡して、｢意外と綺麗にしてるね｣と笑った。
…褒めてくれたと思っておこう。
「どうぞ」
「ありがとう｣
不規則に揺らめく湯煙が、私とアイエンさんの間をゆっくりと登りつめていく。
いい香りだね、と笑う彼の瞳に光は灯っていない。
「僕猫舌なんだよね｣
「そうですか…」
｢もう少し冷めるまで、お姉さんと話したいことがあるんだ」
いいよね？と、スラッと長い脚をテーブルの下で組み、結んでいたネクタイをグイッと弛めた。
彼が何のためにわざわざ私の元を訪れたのかなんて、聞かなくてもわかる。私とスンミンさんの共同任務のことだろう。
ペアを解消しろと言われるだろうか。
真っ直ぐに私を見つめるあの大きくて真っ黒な瞳が私の心の内を全て見透かしているようで、バチッと目が合った瞬間思わず逸らしてしまう。
「お姉さん、どうして今回任務に選ばれたと思う？」
「…私に、建築の知識があるから、」
「うーん、まあそれもあるけど。もっと別の理由」
「…」
言葉につまる私を見て、「わかる訳ないよね、この前まで普通の女の子だったんだから」と呟いた。
「スンミニヒョンが無事に帰ってきてくれるなら、僕がバディじゃなきゃいけないなんて思ってないんだ｣
だから別に怒ってここに来たわけじゃないよ、と怯えていた私を思い出してまた笑う。
ククク、と大きな目を細める姿は年相応で、弟と同い年らしい彼の言動は弟にそっくりで。
ここにいる人たちは何故か弟によく似ていて放っておけない、そんな気持ちにさせるんだ。
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ニナ - コメント失礼します！もうストーリーがタイプすぎます！更新楽しみに待っています！ (4月21日 10時) (
レス) id: 86d1e90db7 (このIDを非表示/違反報告)
ユジ(プロフ) - 面白そうな作品です🤭更新楽しみにしてます！😻 (3月4日 13時) (レス) @page6 id: 9c971eb260 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：浅葱 | 作成日時：2024年3月3日 13時
