• ページ14
.
バンチャンさんのとんでもない指示を、スンミンさんはずっと抵抗していた。
けれど虚しくもバンチャンさんには響かず、会議が終わってからも彼は信じられないと繰り返していた。
バンチャンさんが私を現場に送り込もうとした意図はわからないが、当然私に拒否権などないためスンミンさんに迷惑をかけてしまうことは確定している。
ここは事前に謝っておこうと「あの、」と声をかけると、
「良いですか、絶対に余計なことはしないでください。事前調査も僕一人でするし、当日も僕が主導で動きます。あなたはただついてくるだけでいいですから」
と、捲し立てるように最低限のことだけ告げられる。
「わ、わかりました」
「スンミナ、別にそこまで言わなくても、」
見兼ねたハンがスンミンさんに声をかけるも、彼はハンをギロッと睨んで部屋を出て行った。
「おれスンミニには勝てないや…」と申し訳なさそうに謝るハンに、大丈夫ありがとうと伝えた。
「けど、Aまじで大丈夫か?」
まだ部屋に残っていたチャンビンも、私を心配してくれているようだった。
「ちょっと不安だけど…、何とかなるでしょ。じゃなきゃバンチャンさんが指示するわけないと思うし」
「そりゃそうだけど。それより、なんで今回はスンミナとイエニがペアじゃないんだ?」
「俺もうチャニヒョンが何考えてるかわかんない」
「スンミンさんっていつもはアイエンさんとペアなの?」
「そう、今までその二人が外れたことないんだけどな。俺もチャニヒョンの頭の中全然わかんねえ」
二人の話によると、スンミンさんとアイエンさんは一緒の時期に組に入ってきたらしい。
その頃からずっと二人はバディを組んで任務をこなしてきたそうで、必ず成果を上げてくるんだそう。
…そんな二人を引き剥がすなんて、余計にバンチャンさんが何を考えているのか分からない。私がアイエンさんの代わりに成り得るとは到底思えないし。
「…イエニ、拗ねそうだなあ」
「ハナ、」
「あ、ごめん!ヌナ…」
ついぽろっと思ったことが出てしまったようだ。
焦るハンに気にしてないよと伝えると、彼は安心したようだった。
.
575人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ニナ - コメント失礼します!もうストーリーがタイプすぎます!更新楽しみに待っています! (4月21日 10時) (レス) id: 86d1e90db7 (このIDを非表示/違反報告)
ユジ(プロフ) - 面白そうな作品です🤭更新楽しみにしてます!😻 (3月4日 13時) (レス) @page6 id: 9c971eb260 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:浅葱 | 作成日時:2024年3月3日 13時