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ドアを開けて入ってすぐ横のスイッチを押すと、リビングは煌々と照らされた。



「電気もつけずに何してるの?変な悪戯しても引っかからな…」




途中まで動いていた口が、目に入った光景を理解した瞬間動かせなくなった。
そこには、私を揶揄おうと悪戯顔をした弟はいなかった。冷たいフローリングに直で座らされた弟は、ただただ震えていた。






「ヌナ…」

「なに、してんの…」




幸い殴られたような形跡はない。それでも恐怖で震える弟の前に、ダイニングテーブルの椅子を勝手に持ち寄ってどかっと腰を下ろしている一人の男がいた。細身の黒いスーツにモスグリーンの髪がよく映えている。

急についた灯りに一瞬瞼を掠めたが、すぐ慣れたようで飄々とした態度のまま、涼しいその双眸で私を捉えた。




「お姉さん?」

「…そうです、けど。誰、」

「お宅の弟さん、どうやらやらかしちゃったみたいで」






軽々しく状況を説明する黒スーツの男。何だこいつ、状況と態度が全く釣り合っていないだろう。
それにとんでもないこと?一体弟が何をしたというのだろう。



弟は思春期を経て憎まれ口こそ叩くものの、元は心根の優しい子だ。生まれた時からずっと近くで見て来たのだから間違いない。そんな子が、知らない人間に土足で家に踏み込まれるようなことを仕出かすだろうか。





「とりあえず、このまま野放しにも出来ないから一旦本家に…」

「ちょっと待って、弟は何をしたんですか?本家って?何したかわからないけど、こういう時って普通警察ですよね」

「…あー、」

「説明もなしに黙って連れてかれるの見てるわけにはいきません。あなたが警察を呼べない理由があるなら私が呼びます」

「……はあ、めんどくさ」





男は心底ダルそうに大きくため息をついて頭上を見上げた後、この場が凍りつきそうなほどの冷めた表情で胸元から何かを取り出した。




それがハンドガンだと脳が認識した瞬間、弟を庇おうと咄嗟に動いた。




男はそんな私を気にも止めず、弟めがけて引き金を引いた。




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ニナ - コメント失礼します!もうストーリーがタイプすぎます!更新楽しみに待っています! (4月21日 10時) (レス) id: 86d1e90db7 (このIDを非表示/違反報告)
ユジ(プロフ) - 面白そうな作品です🤭更新楽しみにしてます!😻 (3月4日 13時) (レス) @page6 id: 9c971eb260 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:浅葱 | 作成日時:2024年3月3日 13時

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