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いつも死人のような顔をして出勤するはずの私がニコニコしているせいか、チャンビンさんは嵐が来るぞ!雨戸を閉めろ!と騒いでいる。
全く年上らしさが感じられない。弟にしか思えない。



「今日ってチャンビンさんがハンくんについてくれてました?」
「あ?そうだけど」
「どうでした?」
「もう普通に仕事できるよあいつ。俺らつかなくても良さそうだからチャニヒョンには言ってある」



そんなに仕事覚えが早いのか…、私ももうつけないのかな。だってまだ一回しか…。
…え、待って。



「何で私ちょっと残念がってんの?」
「なに?独り言やめて?」
「いや咄嗟に出ちゃって」
「何なのお前今日怖い!嵐どころか地球の終わりだ!インディペンデンス・デイだー!!」



チャンビンさんはお客さんがいないのを良いことに、テラス席へ繋がる短いスロープの上で理解し難い寸劇を繰り広げている。
完全におふざけモードへ突入してしまったので、お父さんのような笑顔で見守っていたバンチャンさんから箒とちりとりを奪い取り、「あれ?なかなか入らないなーおっきいなーこのゴミ」というと、すんすん言いながら仕事へ戻って行った。



バンチャンさんが掃除中だったのに道具を奪い取ってしまったので、邪魔してごめんなさいと返すと「全然いいよ」と笑って受け取ってくれた。

そのまま私の顔をいつもより少し長く見つめて、嬉しそうに頭を撫でる。


「A、何か良いことあったみたいだね」


彼には筒抜けなのだろうか?変に取り繕ったってすぐにバレてしまう。
ハンくんが笑ってくれたからなんて恥ずかしくて言えるわけがなかったので、最近あった出来事…と考えたら一つしか思い浮かばなかった。


「ついに例の隣人に一言言ってやりました。…ちょっとだけ後悔しましたけど笑」
「わあ!そうなんだ!トラブルにならなかった?」
「はい!喧嘩も覚悟してたんですけど、大丈夫でした」
「そっか。良かったねえ」


私の悩みが解決して、本当に良かったと思ってくれているのだろう。こんなにあたたかい職場が他にあるだろうか?
…ないだろうな。



だからこそ早くハンくんと仲良くなりたいんだ、そうだ、絶対そう。
あの笑顔は一旦忘れよう!と自分に言い聞かせて、仕事に取り掛かった。



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作者名:浅葱 | 作成日時:2023年9月25日 12時

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