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タクシーがマンションの前に到着した。
ジソンくんには申し訳ないが、私一人では到底部屋まで運べそうにないので起きてもらわないといけない。
ごめん！とジソンくんの肩を思い切り叩くと、急な衝撃に驚いたジソンくんは一瞬で目を覚ました。
まだ状況を把握出来ていないだろうが、運転手さんに悪いので急いで降りる。
「あれ、うちのマンション…？」
「ジソンくん大丈夫？ごめんね叩いて」
「あ〜…妙に痛いと思った」
部屋に戻ろうと歩き出すも、彼は立っているのが精一杯で歩くにはまだまだ足元が覚束無い。
私に肩を担がれて運ばれる彼を見ていると、数ヶ月前の自分を見ているようで、あの時自分はこう見えていたのか…と今更ながら恥ずかしくなる。
部屋の前に着いたのでジソンくんに鍵を出すよう伝えるが、部屋に着くまでの間に彼はまた夢の世界に旅立ってしまったようで何も聞こえていない。
やけに途中から重くなったと思ったらそういう事か…。
勝手に触ってしまって申し訳ないが、バックの中を探させてもらうことにした。
が、バックの中には鍵が何個もバラバラになって放り込まれていて、どれがジソンくんの部屋の鍵かわからない。
「ねえジソンくん！鍵どれ！？」
「カギ…、掛けたっけ…？」
「もう！」
もう夜も遅い。ここでいつまでも騒いでいる訳にはいかない。
そうだ、ジョンインくんがもしかしたら今日も来ているかもしれない。ほとんど毎日彼の部屋に入り浸っているし、今日もいるだろう。
時刻は23時を少しすぎた頃、ジョンインくんならまだ起きていると信じて、チャイムを鳴らす。
中から足音が聞こえる。良かった、ジョンインくん来てたみたい。
ガチャっとドアが開いて顔を覗かせたのは、ジョンインくんではなかった。
「……だれあんた」
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作者名：浅葱 | 作成日時：2023年9月25日 12時
