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外へ出てみると、彼は店前の縁石にちょこんと座って、静かに夜空を眺めていた。
「寒くない？」
「ん？うん」
そういう彼の頬は赤らんでいて、瞳は潤んでいる。
夜空を食い入るように見ているので真似して自分も空を見上げると、この季節特有のガラスのように澄んだ空気のおかげで星の光が普段の何倍にも輝いていた。
一生懸命眺める彼の瞳にもまた、煌々とした一等星が宿っているかのようだった。
少し伸びた前髪が目に入りそうで、邪魔になっていないだろうかと考えたらいつの間にか気づかないうちに手が伸びて、彼の前髪を退かしていた
相変わらず彼はびっくりすると肩を跳ねさせる
「ごめん、びっくりしたね」
「ちょっとね。でも、手冷たくて気持ちいい」
「…それは良かった」
「うん。だからもう少し触ってて」
月光の差した目が私を捉えて、どきりとした。おずおずともう一度手を伸ばし、今度はジソンくんの頬に手のひらを合わせる。
とろんとしていた瞳はいつのまにか瞼を閉じていて、このまま寝ちゃいそう、と薄桃色の唇が弧を描く
「…私じゃ家まで担いでいけないよ」
「はは、じゃあちゃんと帰れるように、俺の酔い覚まして」
「…何であんな無茶な事したの。お酒苦手なのに」
「A、困ってるかなーって思って、」
ちらっと横目で私を見た後、「嘘、Aの前で格好つけたかっただけだよ」と普段なら絶対に恥ずかしがって口にしないようなことを言う。
アルコールの所為で甘くゆっくりになった滑舌がやたらと色っぽい。
無防備なまま身を委ねるその危機感のなさに、つい好きだと言ってしまいそう。
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作者名：浅葱 | 作成日時：2023年9月25日 12時
