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ある日の仕事中、ちょいちょいとチャンビンさんに奥の機材庫まで来るよう呼ばれた。
「お前来週の週末なんか予定ある？」
「特に何もないですけど…」
「俺の友達が男女でメシ行きたいからセッティングしてくれって言ってきてさ、お前暇なら来てくれない？」
「…それ、合コンってことですよね？遠慮します」
「わかる、俺もいや。まあお前のことは狙うなって友達にも釘刺しとくからさ。タダ飯食えると思って、な？」
自分も嫌なら断ればいいのに…。頼むわ、と手を合わせてお願いされる。チャンビンさんも慣れないことを頼まれて困っているのだろう。早くどうにかしておきたいのも無理はない。
私は数合わせということにしてくれるみたいだし、一食でも食費が浮くのは有難いことだ。一対一でもないなら間違いが起こる可能性も低いだろう。
あまり乗り気はしないがチャンビンさんの助けになれれば、と承諾した。
詳細はまた連絡するとだけ言われたので、そのまま休憩に入るらしいチャンビンさんをおいて外に出ると、ドアのすぐ前には壁に凭れて腕を組みこちらを見るジソンくんが居た。
驚いて思わずわっ、と声を出してしまったが、ジソンくんは特に反応することなく、怒っているまでいかなくともやや拗ねたような表情だった。
「ジソンくんいたんだ…」
「A…、ああもう本当に、」
きょとんとした顔をしているであろう私を見て、ああと声を出して目を覆う。
「さっきの話聞こえてた。行くの？合コン」
「…頼まれちゃって。でもただの数合わせだよ！チャンビンさんもいるし大丈夫！」
「わかんないじゃんそんなの」
「…チャンビンさんが困ってそうだったから、」
目の前の彼には何を言っても不満のようだ。
軽い女ではないと泣いて釈明した夜もあったが、それとこれとはまた別の話だ。内容がどうであれ人の助けになりたいと思うのはいけないことなのだろうか？まあ人助けというより、食費が浮く方に惹かれたのは事実だが。
「…〜っもう！」
「えっ、？ジソンくん！？」
話の途中で機材庫に入っていったジソンくん。中で何やらチャンビンさんと言い争っているような声は聞こえるが、内容まではっきりとは聞こえない。
話が終わっていなかったのでジソンくんを待とうかと思ったが、なんだか長くなりそうだったのでその場を離れることにした。
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作者名：浅葱 | 作成日時：2023年9月25日 12時
