34 ジョンインside ページ34
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小さい頃からずっとテコンドーを習っていた。
昔は国家代表になりたいなんて思ったこともあったけど、今は趣味程度で続けていて、まあ習ってるなら大会くらい出ておくか、くらいのいい加減さで毎年出場している。
会場で対戦表を確認して一人ウォーミングアップをしていたら、リノヒョンが差し入れを持ってきてくれた。なんだかんだ毎年見に来てくれている。
「ジョンイナ、はいこれ」
「ありがとう。ハニヒョンは？」
「家の用事があるってさ。おばさんにどうしても帰ってくる様に言われたらしい」
「ふーん」
「なに？ヒョンだけじゃ不満なの？」
「そんなんじゃないよ…、面倒臭いなあもう」
このヒョンは三つも上なのにすぐに拗ねるので、どっちが弟なのかわからなくなる。適当に遇らうともっといちゃもんを付けてくるのでいい加減にしてくれと視線を別に移すと、反対側に見覚えのある姿が。
「あれ…、ヌナ？」
「は？だれ？」
そっか、リノヒョンはAヌナのこと知らないんだ。
ハニヒョンのバイト先の人で、マンションのお隣さんであると伝えると、そんなことあんの？と驚いていた。
「あと多分、ヒョンの片想いの人」
「え、あのハニに好きな人？」
そう言ってリノヒョンはもう一度ヌナの方を見る。でもだんだんと怪訝な表情になってきて「ふん、」と不機嫌そうに鼻を鳴らした。
何となくわかる気がする。だってヌナ、凄く格好良い人達と一緒にいるんだもん。
一人は道着を着ているから大会の出場者だとしてもう一人、スラっとしたあの美形のお兄さんは…？大方あの道着を着たお兄さんの応援に一緒に来たんだろうけど、それにしても格好良すぎる。あんな人がヌナの身近にいるなんて…
ヒョン、きっと難儀するんだろうな。
「なんだよ、両手に花？あんなのハニ勝ち目ないじゃん。やめとけやめとけ」
リノヒョンはハニヒョンが傷つくのが嫌んなだろうな、悪態ついた言い方したって弟の僕にはわかるよ。でも、一喜一憂してるハニヒョン見てると、報われてほしいなって思うんだ。
「僕はハニヒョン応援したい。力になれたら良いなって思う」
「…あっそ。」
リノヒョンは納得していない様だったけど、追々わかってくれれば良いかな、って。
むすっとしたリノヒョンに、会場の外で出店しているハンバーガーが食べたいとわがままを言う。しょうがないなと言って連れて行ってくれるリノヒョンも、大概僕には甘いなと思う。
さあハニヒョン、頑張らないとね。
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作者名：浅葱 | 作成日時：2023年9月25日 12時
