30 ページ30
.
「ジョンインくんも音楽好きなんだね。ジソンくんもだし、やっぱり一緒にいる時間が長いと似てくるのかな？」
「僕は、音楽ももちろん好きだけどハニヒョンの作る曲が一番好きなんです。流してた曲もハニヒョンのやつで、！っもがぁ、っ、！」
話している途中で後ろから口を塞がれたジョンインくんはとても苦しそうに身体中をバタバタと動かして悶えている。
何事かと驚いてジソンくんを見ると彼もまた大層焦っている様で、その手には筋が浮かぶほど力が込められていた。
「A、何も聞いてないよね？何も知らないよね？」
「ジソンくんの作った曲が一番好きってことしか聞こえてない」
「聞こえてるじゃん…」
力が抜けてゆらゆらと倒れ込むジソンくんと、拘束から解放されて噎せ込んでいるジョンインくん。
以前あれだけ音楽の魅力について語ってくれた彼のことだ、自身で理想の音楽を作りたいと思うのは至極当然のことじゃないか。
彼は自分が作曲をしているということを知られたのが恥ずかしいようだが、彼の曲を聴いてしまったら虜になってしまう、そんな曲が作れることを誇りに思って欲しい。
「私もジソンくんの曲好きだよ」
そう言うと、倒れ込んでいたはずのジソンくんはガバッと起き上がり信じられないという顔をする。
「待って俺の曲聴いたの？いつ？」
「ツテがあってね、笑」
「お姉さんも聴いたんだ…、いい曲ばっかりですよね」
「まだ一曲しか聴けてないんだ。他にもオススメある？」
「もちろん！今度教えますね」
ずっと強張った顔をしていたジョンインくんは、初めて弾ける様な笑顔を見せてくれた。
ジソンくんの曲には人と人を繋げる力があることを、いつか伝えてあげたい。
雰囲気も和んで、全員の緊張も解けた様で。
そういえば、と手に持っていたブラウニーを二人に渡すと、ジョンインくんはとても喜んでいた。美味しいと全て食べきってくれたので、今度ヨンボクに会ったらお礼をしなければ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 630人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：浅葱 | 作成日時：2023年9月25日 12時
