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「…えっと、Aさん、」
「えっ、はい」
「いつも音楽流してたのヒョンじゃなくて…、僕なんです。お姉さんが来た時も、僕がインターフォン出て、」
…なるほど。だからジョンインくんは私の事を知っていたのか、怖がられていたのも納得できる。
ジソンくんではなかったことに少しほっとして胸を撫で下ろそうとした、
が、つまり私はジョンインくんに謝らなければならないのではないだろうか?
謝る相手違ったな?と考えている間もジョンインくんは続ける。
「あの時のお姉さん凄い剣幕だったし…、それだけ嫌だったんですよね、ずっとすみませんでした」
俯いてしまったジョンインくんを慌てて覗き込むと、大きな目に水膜が張っているように見えるのだが気の所為だろうか?彼の瞳はうるうると不安そうに揺れている。
「ちょっと待ってジョンインくん、泣かないで」
「泣いてない!ヒョンじゃなくて僕が悪いからこれからもヒョンと仲良くしてやってください」
「それはもちろんなんだけど、私もジョンインくんに謝らなきゃ。あの時は勢いに任せて怒ってごめんね。ちゃんと落ち着いて伝えてればこんな風に泣かせずに済んだのに」
怖がらせてごめんね、と目線を合わせると「怖くなんかないです」と強がっていた。
ジョンインくんと私の様子を静かに見守っていたジソンくんは安心した様で、彼の肩を抱いて少しの間横顔を眺めていた。
「確かに騒音騒ぎはジョンインが悪いんだけど、気づけなかった俺にも十分責任はあるからさ。A、今までごめんね迷惑かけて」
「ううん。お互い様ってことで、これでこの話終わりにしよっか。ジョンインくんも泣きやんで〜」
「泣いてないですから…」
ジソンくんは可愛いなウリマンネ〜とジョンインくんの頭をくしゃくしゃに撫でていふるが、振り払わない辺り彼も満更ではないのだろう。
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作者名:浅葱 | 作成日時:2023年9月25日 12時