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結局気が抜けてしまってそのあとはただジソンくんがケーキを食べる終えるのを待って仕事に戻った。
後からバンチャンさんに謝ったが、「あんなイレギュラーがあっちゃあね笑」と笑ってくれた。
家に帰ってからも、二人で話せる機会は次いつ訪れるのか、他人任せにせず自分から行動しなければ、なんて考えが行ったり来たりして纏まらない。
…せっかく家が隣同士なのだ。話したい時いつでも話せるのが特権じゃないか。
思いたったらするべきことは一つ。
何か菓子折り代わりになるものはないかとキッチンへ行くと、数日前ヨンボクがくれたブラウニーがあった。自分が作ったものではないが味は保証できるので問題ないだろう。
タッパーに入っていたブラウニーを箱に移し替えて、見た目だけでも小綺麗にアレンジしてみた。カフェで働いていて良かったと、この時初めて思った。
オーバーサイズのスウェットから、淡い水色のブラウスとジーンズに着替えて、前髪も整える程度に巻いた。
謝りに行くはずなのに気合いを入れる方向が間違っている気がする。私は今から告白でもしに行くのだろうか。
玄関を出て、たった数歩の距離しかないジソンくんの家の前で、大きく深呼吸をする。
よし、行くか。
インターフォンを押そうとした、その時
「だれですか…？」
少し離れたところから声がして振り向くと、大きく切れ長の目が特徴的な青年がいた。
彼は私の顔を見るとみるみる青ざめた表情になり、「っうわぁぁあ！復讐ですか！？」と大きな声を出して叫ぶので、つられて自分も「何のことですか！？」と叫んでしまった。
二人して大声を出しているだけで会話にならない。それに、つい反応してしまったが誰なんだこの男の子は！やっと決心してここまで来たのにこんなところで足止めを喰らうなんて…！
「ジョンイナ、何騒いでんの？」
目の前のドアが開いて、ジソンくんが現れる。彼はすぐ私にも気付いて、「え、A？」と驚く。
「ヒョン〜泣 隣のお姉さんが僕に復讐しに来た…」
「えっ、何それ」
「ごめんA、ちゃんと説明するよ。良かったら上がって、片付いてないけど」
ジョンインと呼ばれたこの男の子は「本当に家に入れるの…？」とジソンくんに小声で聞いているが、そこまで怖がられるようなことをした覚えがない。
とにかく、予想外の出来事はあったがお家にお邪魔することはできそうだ。ジソンくんに誘われるがまま彼の家へ足を踏み入れた。
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作者名：浅葱 | 作成日時：2023年9月25日 12時
