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長く燃えてた方の勝ちね、と伝えてお互いせーので火をつける。
何度見ても花火越しの彼は綺麗で、勝負がかかっているのに相変わらず私の視線は彼に集中している。
「俺のこと挑発してる？笑」
「挑発？なんで？」
「そんな見られたら緊張するじゃん笑 わざとでしょ？」
つまり私が彼を凝視していたことがバレているということじゃないか。最悪だ。
上手い言い訳が思いつかなくて変に空く間がより一層私を焦らせる。動揺が指先にも伝わってしまったのか、次の瞬間私の線香花火は呆気なく終わりを迎えてしまったのだ。
項垂れる私を目の前にしてハンくんは嬉しそうに笑う。
「人の不幸を喜ぶなんて…！」
「勝ったら喜ばなきゃ笑」
「…はいじゃあお願いどうぞ。あんまり高いのはやめてね？」
「ああ、お金かかるやつじゃないよ。Aがいれば十分叶えられること」
「えっなに？変顔してとか？」
違うよ〜！と笑いながら否定した声が思いの外大きく、すでに夜も更けていたため咄嗟に両手で彼の口を押さえてしまった。
ごめん！と手を離そうとするとそのまま彼に手を掴まれて、ゆっくりと降ろされる。
「お願い言うね？」
「う、ん。けどその前に、手、」
「叶えてくれたら離すよ」
「へっ！？」
なんなんだ！なんて拷問なんだこれは！
悪戯っ子のように笑う彼は確実に私の反応を楽しんでいるんだろう。好きになった方が負けという言葉は本当に間違ってなどいない。今も身体の内側から沸騰しているんじゃないかと思うくらい火照っている。
「Aも俺のこと名前で呼んでくれる？」
「…名前？ハンくん、」
「そうじゃなくて、下の名前」
仲の良いバンチャンさんやチャンビンさんも名字を愛称で呼んでいるのに、私が名前で呼んでも良いのだろうか？
躊躇っている間に私が機嫌を損ねたと思ったのか、ハンくんは少し眉を下げて強制はしないよと言う。嫌なんかじゃない、むしろ叫びたいほど嬉しいんだから。
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作者名：浅葱 | 作成日時：2023年9月25日 12時
