図書隊のちっちゃい女の子 (ページ12)

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やっぱり堂上side ページ12

堂上side

なんとなく、桜木に会いたくて桜木のテントまで行った。

すると、自分が図書隊に入った理由を嬉しそうに話し始めた。

『急に良化隊が来て、本を取ろうとしたんです。私は購入済みだったからすぐにカバンにしまったんですけどバレちゃいました』

ちょっと待て。その話を始めるな。

『それで良化隊ともみ合いになって突き飛ばされたところを図書隊の人が助けてくれたんです』

違う。やめろ。

『そのとき、郁も一緒に助けられて、二人で図書隊ってかっこいいねって話してました』

嘘だろ。

『私はあの人の大きな背中に憧れたんです』

笠原のことは覚えてる。

ただ、桜木を助けた記憶はない。

だって、笠原の隣にいたあの子は髪が長くて…

『私、あのあとだいぶ髪切ちゃったんで、あの人が私のこと覚えてても分からないと思います』

確かに、背が小さくて、黒髪で、キリッとしている目はあのとき助けた高校生とそっくりだ。

『で、この本がそのときに助けてもらった本なんです！』

ああ、やっぱり。

桜木を見て、ほっとけなくなるのも

笑顔がかわいいと思うのも

好きだって思うのも

あのとき俺が一目惚れした高校生だったからなんだ

『私、あの人に会ったら好きだって言うんです！あなたのおかげでここまでこれましたって。あなたを目指して頑張ってきたって。全部全部言うんです！』

堂「……そうか」

『？』

堂「今日はもう遅い。早く寝ろよ」

そう言って、テントを出た。

あいつの目指してた俺はもういない。

小さい体で本を守るあの子を俺は好きになった。

その子が自分を追いかけてここまできてくれた。

でも、俺はあのときの俺じゃない。

堂「突き放す、しかないのか…」

俺の独り言は夜空に消えていった。