正反対のふたり (ページ5)

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5▽正直、なかなかページ5

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side #7

正直、なかなかないことだよなぁとは思った。

居酒屋でたまたま隣り合わせた、見ず知らずの人。

別々にそこを出て、お互いひとりになったあとで、また違った場所で遭遇する、なんて。

居酒屋では、俺たち(というか主に近藤)がなかなかでかい声で喋ってしまったから、
ただ、普通に、礼儀として、一言かけた。

迷惑かけたやろか、と思って。

それだけなんだけど。

「…あ」

「あ、あの」

「さっきの。」

「…ですよ、ね。すみませんなんか」

そりゃ、つい先程やりとりしたばかりなんだから、気づかないわけがない。

別にスルーしても良かった、でも目が合ったからつい、反応してしまった。

…男やし、

初対面の人に向かってこんなこと思うのは失礼かもしらんけど、

正直、普通。

普通の女の子、って感じ。

(ビール、と、お菓子)

少しでも俯くと自動的に目に入ってくる、彼女の持ったカゴの中身。

顔だけ見たら、派手な感じでもないし、まぁこんなのただのイメージやけど、

そんな飲みそうな見た目してないけどなあ。

勝手なイメージなのは申し訳ない、けど。

ボケッとそんなことを考えていたら、

「がんばってください」と声をかけられる。

頑張れ、と言われて嫌な奴もいるだろうけど、自分は悪い気はしない。

むしろ、うれしい。

軽くお礼をして、会釈して。

その時は、ただそれだけ。

正直、なかなかないことだよなぁとは、思ったけれど。

(出逢いと呼べる出逢いでは、なかった)

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