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11▽聞きづらいこと ページ11

*




「じゃ、とりあえず…ビールひとつと、」

「あ、わたしもビールで…」

「そんじゃビール、ふたつで」



月曜日の18時は、比較的 店も空いていて、通されたのは
以前よりも個室感がぐっと増した、小上がりの席だった。

この店、こんな席もあったのね。

さすが、ちょっと良い(お値段の)店…







程なくして運ばれてきた キンキンに冷えたビール。

出会って間もないけれど、まるで 今までも知り合いだったかのように、乾杯をする。





「…あの、聞きづらいこと聞いてもいいですか?」

「ん?」

「なんで、…誘ってくれたんでしょう、こんななんでもない一般人を…というか…」




やっぱり、不思議でしょうがない。

何を期待してるわけでもないけど、聞きたかったから、率直に問う。
天と地の存在だ。プロ野球と一般人なんて。





「んー…なんて言うか、さっきも言うたけど、あんなん初めてやったし、何回も会っちゃうてきな」

「ああ…」

「サッポロきて、けっこうたつけど、こっちにそんな友達もおらへんし。なんか気軽にお酒とか飲めるような」

「んん…」

「Aちゃんやったら、なんつーか…気が合いそうな気がしましたんで」





そんなわけです。と、ビールを流し込む彼。



いや、そんなわけです…とか言ってますけど、

この人、俗に言う、彼女ってもんはいないのだろうか??
そう言うわたしには彼氏ってもんはいない(ちなみにもう学生時代からしばらくいない)から、
プロ野球選手にそんな疑問抱くこと自体失礼なのだろうけど…





「彼氏は?」

「はいっ?」




やばい、心の声聞こえてた?!

ハッとして顔を上げると、「彼氏とか、いないんすか?」と聞き直される。






「これこそ失礼か。」

「いや、いいんですけど、…もうしばらくできてなくて」





ここまできたら、もう何かしら妥協するのも必要かなあ、なんて。

仕事柄、出会いもないし…というのはただの言い訳で、
きっと本気になって自分から動いてみたら、良い人も見つかるような気もするけれど、



自分のことをまだ楽しみたい。
仕事もだいじ。
理想は高くなる一方。



そして、極めつけは…

とんでもない、ずぼら!





うん、これだ。

一番の原因はこれに違いない。
一生彼氏なんて出来ない気がしている。




しばらく、できていない…というわたしの言葉を聞いた彼は、ビールを一口流し込み、言った。





「ああ、似てるかも」

「ん?」






*

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笑花(プロフ) - 更新楽しみにまってます!すごく楽しくいつも拝見してます! (2018年1月14日 12時) (レス) id: e418351b12 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まいち | 作成日時:2017年9月17日 20時

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