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「ほのちゃ〜ん 泣いて教えたの。えらいねぇ」
手脚を震わせて主張するほのかをやわらかく抱き上げ、ついさっきくぐらせたばかりのボタンを外しながら言うA。
間接照明を、お互いの表情が確認できるくらいの明るさにして。自分も、ベッドに腰をおろす。
なんの躊躇もなくあらわになる、彼女の胸の膨らみ。
今まで何度となく見てきたはずのそれだけど、
なぜか、なんとなく目を逸らしてしまう。
「…なんか」
「あぁごめんいないほうよか？普通についてきちゃったわ」
「あ、違ういや、そうじゃなくて、なんかどこでもポロンて出せちゃうようになっちゃったっていうか。これ」
「…んん？」
「恥ずかしさとかなんかゼロ？こうなってくると。これを出すのが」
「…ああ」
「だからみんなうちに来たときに、うっかりポロンて出さないように気をつけないとっておもった」
そんなことを言いながら苦笑いするAにつられて、思わず俺も大笑いしてしまった。
人の嫁がいきなりポロンし始めたら、いくら授乳のためとは言えそりゃびっくりだよな。
「はぁー、それだけは勘弁してほしい」
「あっはは！気をつける…」
「困惑するわ」
チームメイトが我が家にやってくるのは、二日後。
誰かが自分の家に来る、というのは本当に久しぶりで、妙な緊張感もあるけれど、
この空気感に触れて、あいつらがいったいどんな反応を見せるのか…というのは、楽しみでもある。
特に、父親になった俺の姿を、いつまでも 信じられないと話す、遥輝や慎吾。
どんな顔をするだろう。
「たのしみだな〜」
「ん？」
「みんな来るの。みんな親戚のおじちゃんみたいなものだよね」
「んー。産まれる前から知っとるけんね」
「ね。……寝たね」
「俺も寝よそろそろ。」
「もうこんな時間かぁ〜おとうさんおつかれさまだね」
「いやおかあさんこそおつかれさまです」
ぺこぺこ頭を下げあって、はは、と笑い合う。
さ〜今日は泣くかな〜何時間で起きるかな〜と笑顔で伸びをするA。
ああ、この笑顔に、俺は(きっとほのかも、)支えられている。
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作者名：まいち | 作成日時：2017年9月15日 3時
