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卓は、ほのかが産まれてから、変わった。
二人の時間を、ものすごく大切にしてくれているように感じる。
今までだって彼なりに大切にしてくれていた、でも今まで以上に、心がより近くなったなあと思う。
あと、関係ないかもしれないけど、
今まで食器洗いなんてしたことなかったのに、なんかすごいしてくれるようになった。食器洗いを。
…病院で、看護師さんの手助けがあってもすでに大変さを感じた、新生児との生活。
飲む、出す、寝る、泣く…それだけなんだけど。
それだけじゃなくて、なかなか母乳を飲んでくれないとか、体重はちゃんと増えるんだろうかとか、次々に生まれる疑問と悩み。
これまで自分中心だった生活も、一気に娘中心だ。
まだ始まったばかりだけど、うまくできるだろうか。
楽しみのほうが大きいとは思うけれど、やっぱり不安も大きい。
それでも、
──俺も父親やけん、もっと頼って。
卓の言葉が、素直に心に響く。
家にいないことが多いとは言え、ほのかのお父さんは彼なんだ、と思うだけで、なんだか心があったかくなる気がした。
外しっぱなしのボタンをいそいそと留めて、そっと寝室を出る。
寝室のドアは、少しだけ開けておく。
「ごはん食べる？よね？」
「んん…軽くでよかよ、こんな時間だし」
「うん。座ってて、あっためる」
今日の試合は、自宅のテレビで行方を見守っていた。
延長に差し掛かったところでほのかに呼ばれて、そのままうつらうつら眠ってしまって…
「最後まで観れなかった、今日」
「勝った勝った。」
「えー勝ったの！何回？」
「じゅうに」
「うわ〜。それはつかれたね」
付き合ってた頃は、球場へよく足を運んだなあ、と ぼんやり思い出す。
自分でチケットを取って、ドキドキして。
駅から続くあの道のりも、席にたどり着くまでのいくつもの階段も、地鳴りのような歓声も、
今思い出すと 心底愛おしい。
また、行きたいなあと思う。
まだ先の話にはなってしまうだろうけど、あの景色を、ほのかにも見せてあげたいと思う。
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作者名：まいち | 作成日時：2017年9月15日 3時
