46 ページ46
*
「ひまだー…」
この部屋にやってきて、もう3週間が経とうとしていた。
あの日改めてなんだかよくわからない検査を色々されて、
良いか悪いかで言うならば、状態は「悪い」。
言葉通りの絶対安静状態で今に至る。
卓は、あの時言っていたとおり、
札幌にいる日には、試合があったとしても、ほぼ毎回来てくれている。
疲れているだろうに。ありがたいし、心強い。
調子の良いときには決まって退屈を持て余すわたしに、
彼らしくもない、なんて言ったら失礼かもしれないけれど
尽きることない話題を毎回提供してくれて、なんだかいつも愉快に帰っていく。
元気づけようとしてくれてるんだろうな、
こういうところは卓は不器用で、
不器用なわたしでさえすぐに見抜けてしまう。
この部屋は来院者の宿泊が出来ない部屋なので、
いつも遅い時間にやって来る彼は、
面会時間を終わりまでいっぱいに使って会いに来てくれた。
切迫早産という現実を突き付けられて、
一時期は本当に自分を責め続けて、
ひとりになるたび、それでもお腹いっぱいの胎動を感じるたびに、
自信の無さと恐怖に苛まれていた。
いつも、わたしのため、娘のための色々な種類の何かを身体の中に流し込まれて、
それに伴う体調の変化が苦しい時も多い。
いつまで続くんだろうとか本当にこのままで大丈夫なのだろうかとかただひたすら考える毎日。
それでもそのマイナス思考は一時期よりもだいぶ良くなったほうだ。
*
370人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「プロ野球」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななせ - コメント失礼します!とても面白いです!!中島選手大好きなんで更新いつも楽しみにしています。これからも頑張ってください! (2017年9月8日 22時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まいち | 作成日時:2017年8月11日 10時