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「…うん、…えっ、びっくりした」
「びっくりした?なにが」
「いや、卓ちゃんがなんか、そういうこと言ってくれるとは」
「ふっ、どういう意味、言うよ俺だって、………あと、」
今度は向き直って抱きしめる。
「…なんかさ…ほんと、幸せだわ」
抱きしめる力を強くしたら、背中にまわされる細い腕。
くしゃ、と髪の毛に指を通せば、肩口に埋められる熱い顔。
身体を離して、自然な流れで口づけると、真っ赤な顔をしてAは俯いた。
「………はずかしい……」
蚊の鳴くような声で聴こえた一言に思わず苦笑する。
まあ確かにらしくない発言かもしれないけれど、
そんな反応されたらこっちだって恥ずかしい。
「…………わたしだってしあわせですし」
なんだその語尾。
そして、
この満面の笑み。
この攻撃に俺は勝てたことがない。
完全にノックアウトだ。
それを見たらいよいよ良い意味で色んなことがどうでもよくなって、
日頃の良くない要素でいつの間にか張り詰めていた心の糸がゆらゆらと弛む。
ただただ膨らむ彼女への愛しさを自分の心で抱きしめて、
もうひとつの愛しい存在を抱きしめることができる その日までの時間を頭の中でひたすら指折り数えてみる。
早く、逢いたい。
君に逢えるまで、あとどのくらいだろう。
To be continued...
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ななせ - コメント失礼します!とても面白いです!!中島選手大好きなんで更新いつも楽しみにしています。これからも頑張ってください! (2017年9月8日 22時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まいち | 作成日時:2017年8月11日 10時