検索窓
今日:11 hit、昨日:5 hit、合計:263,081 hit

30 ページ30

*





「五右衛門は?五右衛門」

「おまえそれ犬…しかもふざけてたやつ、テレビで。つけたいって言うてたやつやろ」

「くくく、ばれた!だめか」











慎吾くんの、完全却下の候補が何気なく投下された瞬間、
わたしのお腹の中でポンッと弾けた感覚。
まるでお腹の内側から外側に向かって軟式ボールが優しく投げられたような、そんな感覚。

そんなに強いものではなくても、何度もしっかりと伝わってくる。





「…慎吾くん、あはは…慎吾くん、蹴ってる」

「まぁじか!こいつ五右衛門か!」



遥輝くんが声をあげて笑った。
わたしもくつくつと笑いが止まらなくなった。

お腹の中にいる我が子に産まれる前の愛称をつけるという話をよく聞くけれど、
そういうのも特になく、いつも呼びかけるときは“おーい"と呼びかけていた。





「じゃあ、今日から五右衛門って呼ぶことにする」

「まじか」

「まぁじかぁ、Aちゃんそれ女の子やったらつらいで!」

「いや、女の子だったらっていうかもはや性別どうこうの問題ちゃうやん」

「じゃあ、もんちゃんって呼ぶことにする」

「いや ちゃん付ければいいって問題なん」





けたけた笑う彼らを尻目に、ポコンポコン存在を主張するもんちゃん(早速こう呼ぶことにする)。

もはや話に参加することをやめた卓が、笑いながらわたしのお腹に手をやった。





しあわせだな。しあわせだね。




そうやってくだらない話をしているうち、
すでに時計の針は一周の半分をまわろうとしていた。
そろそろ戻ろうかという流れになる。
せっかく来たんだから見ていきなよ、という言葉をありがたく受け止めて、
邪魔にならないよう裏からこそっと観戦。





久しぶりに見る、家にいる時とはまったく違う、卓の姿。







*

31→←29



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (84 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
370人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ななせ - コメント失礼します!とても面白いです!!中島選手大好きなんで更新いつも楽しみにしています。これからも頑張ってください! (2017年9月8日 22時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まいち | 作成日時:2017年8月11日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。