検索窓
今日:20 hit、昨日:5 hit、合計:263,090 hit

26 ページ26







「性別は?わからへんのか、まだ」


遥輝が、またAのおなかに触れながら、問う。




「いや、わかるんだけど、なんかね卓ちゃんが。聞きたくないって」

「えっ 卓さんなんで?知りたくないすか?早く」

「いやほら、なんかさ知らないほうがなんか」

「だからわたしも聞いてない」

「そうなん、俺女の子がええな、女の子。溺愛する自信ある」

「いや別に遥輝の子じゃないからね?」

「いや、もう俺たちの子どものようなもんっすよね」



間髪入れずにツッコミを入れる鍵谷と、
何やら楽しそうな遥輝と慎吾。



俺ららしいとも言えば俺ららしい穏やかな和やかな空気だ。

この場にAの存在があって、ごく自然に受け入れられている。




だけど、

入籍や子を授かったことについて、
球団側に打ち明けてからしばらくは(数週間程要しただろうか)、
彼女とのことを公にするかしないか ということについて、それなりに話し合った。



一応、俺は人の前に立つ仕事をしていて、
有難いことに俺の活躍を待っていてくれる人たちがいる。

立場に対しての差をつけることはしたくないし差はないと思っていても、
それでも事実Aは俗に言う一般人だ。

とりあえずこの出来事と事実については公式を通して発表するべきなのではという意見があがる反面、
発表する義務は別にないのでは?発表するにしても、別に今すぐではなくても…という意見。




俺も、どちらかと言えば後者派だった。


自分がどうこう言われるのは構わないが、
彼女がどうこう言われたり、
それによって何かが起こってしまったりするのがいやだった、から。



プロ野球選手としての“これから"と、私生活の“これから"、
そしてそれを応援してくれる人たち。

どれもこれも何物にも替え難い宝物であり、だいじなもの。

天秤にかけるようなことはもちろんできず、
自分だけの問題ではないからこそ、どのようにするのが最善なのか、答えを出せずに渋る俺の背中を押したのは、
やっぱりチームメイトひとりひとりだった。






*

27→←25



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (84 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
370人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ななせ - コメント失礼します!とても面白いです!!中島選手大好きなんで更新いつも楽しみにしています。これからも頑張ってください! (2017年9月8日 22時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まいち | 作成日時:2017年8月11日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。