真夏の君は透明で儚い 2 (ページ10)

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ぷーっと頬を膨らましているけど、全然怖くない。

「いや、俺も言いたいことがあったし、考えてはいたんだけど準備が...」
「うん」

ふふっと笑っているAちゃんを見て、そんな準備をしなくても良かったと悟る。
だって、これが好きって気持ちでしょ？そのまま伝えればいいんだよね。

「俺はAちゃんのこと」

ドキドキする。自分から告白をするのは初めてだ。
だってこんなに大好きな女の子はいなかったから。

「大好きだよ。バイト先に入ってきた時から、ずっと、長く片想いしてた」

キモいだろうから言わないけどさ、
成績表が出て、“あの授業めっちゃ頑張ったのにCだったー」と落ち込みつつ怒る姿とかも可愛いし。

夢中になって観ていたドラマの最終回のオチをチャニョルにバラされて涙目になっていた姿だって愛おしい。

ちょっと変なお客さんが来ると俺に“あの人、この前も変でね”と一生懸命話す姿も。

全部含めて、世界で一番、

「俺、世界で一番、Aちゃんに恋をして楽しかった自信があるよ」

こんなキザっぽいセリフを言う予定なんてなかったし、台本だってない。
考えていた言葉もない。
好きだという気持ち以外なにも考えたりしていなかった。

きっとそんなもんでしょ？
俺が、君を好きで、
君が、俺を好き。

それだけで、この世界の一番をとれちゃうよ。

「ベク、ロマンチストすぎっ」
「お、おい！」
「ふふふ、ハハッ、アハハ！でも、でも。
いま私、幸せかも」
「...かも？」
「あっ、ううん！！すごく幸せ！」

Aちゃんは嬉しそうに笑って、俺の手を取った。
キラキラした瞳を見つめるだけで、熱の暑さを感じないほどに、何も感じない。

恋のドキドキだけがずっと残って、
ロマンチストでもいいや、とさえ思う。

「A、大好きだよ」
「っ、もーーー！」

君に出会ったあの瞬間からずっと、
俺の心臓は熱を帯びていた。

君とする恋は、熱くて、幸せで、心臓に悪い。

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［あとがき］

皆様、短編と謳われた中編を読んでいただきありがとうございました。

ザ・恋愛みたいのが書きたくて、ダラダラと書いてしまいました。

物語の密かなポイントは、スホさんのビタミン剤ですよ～！別になくてもよかったビタミン剤ですが、他愛もないエピソードとして盛り込んでおきました。

さて、まだ夏はこれからなので
次もお楽しみに！