真夏の君は透明で儚い 2 (ページ6)

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あれから特にAちゃんからメッセージはなかった。
メッセージがなかった、とかいうよりも俺から何か送ったわけでもないし。仕方ないかと落ち込む。

昨日の、好きって言葉本当かな。とか俺らしくない感情ばかりだ。
ベッドから立ち上がったらフラフラするし、どんだけ俺は衝撃を受けているのだろうか。

もちろん告白らしきものがあった昨日から一夜明けた今日も2限から講義はあるし、バイトだってある。

残念なことに、Aちゃんとは会うことがないのだけれど。

はぁ、ダルい。
と重たい体を動かしながら準備をする。
そういえば、あの後無事に帰れたのかな。

いやいや、そんな気になるならメッセージくらい送ればいい。
“ Aちゃん、昨日は帰れた？”とか、なんか気の利く言葉を送ればいい。

でもまだあのことが引っかかっていて、それを無かったことにしちゃう気がするから送れそうにない。
やっぱり2人でもう一度話そう。

ハッキリしないまま
昨夜の雨のせいで曖昧な関係になってしまう気がするから。

＿＿＿

少し大きめの講義室。
いつものように後ろのドアから入ると、猫背気味のギョンスが見えた。

「おはよ」

ギョンスの可愛らしい後ろ姿に向かって声をかければ、俺の方を見て眉間にシワを寄せた。

「なんかベク、具合悪い？」
「え？」

ボーッとして、思考回路が停止する。
可愛い猫背のギョンスに言われた言葉を繰り返して繰り返して、やっと理解したところだった。

「は？だから、具合悪いの？って」

キレ気味のギョンスが俺のことを見ている。さっきまで可愛いかった猫背姿のぎょんちゃんはどこに行ったのだろうか。

「具合、悪いのかも。」

ギョンスに言われた通り、たしかに朝からフラフラして、やっとの思いで大学に着いた。
ボーッとするし、いつもより心なしか暖かい気もする。いや、暑いのか？

「うわっ、な、なに！」

急にギョンスの手の甲が俺のおでこに触れたもんだから、大きな声を出してしまった。
恥ずいじゃないか。

「熱あるよ。たぶん。帰りなよ、バイト代わってやるからさ」
「え、ギョンスが優しい。」
「いや、優しいとかじゃなくて。
うつされたくないし」

「意地悪だけど、でもありがとう。帰る」
「うん。じゃあ、気をつけて」

「お大事に、くらい言ってよ！」なんて悪態づく余裕がない俺は変かもしれない。

ただ、ギョンスが優しいのではなく、うつされなくないと言ったことだけが記憶に残った。