真夏の君は透明で儚い 2 (ページ20)

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「だから嫌なんだよ。自分のことが好きで可愛くて堪らないような女は」

コイツ....
さっきから聞いてれば言いたい放題して、イライラしてきた。

ジェヒョンさんは恥ずかしげもなく私に色々と言っている。まるで自分が王様とでも言うかのように。

最初は暴力でも振るわれるのかと心配して怖かったけど、そんなこともできなさそうで呆れる。

「こっちは好意で送ってやるって言ってるのに断るし、約束があるとか調子乗ったことまで言い出すし」

「そんなに偉いのかよ」と私に言うジェヒョンさん。もう、我慢できない。
右手の拳をギュッと握りしめて戦闘態勢に入る。

「さっきから黙って聞いてれば好き勝手言って。歳上の男性として恥ずかしくないんですか？」

少し声が大きかったようで、周りを歩いている人たちの視線を感じる。
でも、もうこれっきりの関係だ。
パク専務には悪いけど、息子とはもう会うこともないだろう。

「お金持ちで可愛くて？天が私に色々与えてくれたからって、そんな偏見からアレコレとあなたに言われる筋合いはないと思います。」

まぁ残念ながら、“天が私に～”なんて彼は一言も言っていない。
でも、これくらい良いでしょ？

目の前に立つジェヒョンさんは、私に相当怒っているみたいで顔を真っ赤にさせている。

「お前っ！」

キーッと怒っている彼は今にも茹でダコになってしまいそうで、ちょっと面白い。
ほろ酔い気分も何処かへ飛んで、一気にケリをつけてやろうと大きく息を吸う

「ジェヒョンさん。

大体、あなたの着てる高そうなオーダーメイドスーツと高そうな腕時計。あとは、綺麗にお手入れされたピカピカの爪。

全部全部、見たくればっかりじゃないですか」

「中身は大したことない」と、威勢よく言ってやろうと力強く振り上げた腕は、突然誰かによって止められた。

振り返ってみればそこには大好きな彼が立っている。

「Aごめんね。待たせて」
「ヨリ、」

掴まれて、制された腕。
掴まれた部分だけがすごく熱くて熱くて。

もう何度も見たことがあるはずのスーツ姿にも、胸がキュンキュンとする。

あれ。怒ってたはずなのに。
そんなのどうでも良いやとか、思ってしまったり

「あの、すみません。彼女が色々と迷惑をかけちゃったみたいで」

か、彼女、？
残業終わりで疲れているはずのチャニョルが、キラキラして眩しくて堪らない。